「コムローイ」と呼ばれるランタンを空へと打ち上げる「ローイクラトン祭り」が、今年もタイ・チェンマイで11月27日、28日に開催された。
今年は海外旅行に自由に行けるようになったこともあり、日本からも多くの観光客がチェンマイへと訪れた。ローイクラトンではクラトンと呼ばれる灯籠を川や海に流すのが一般的だが、ランタンを打ち上げるイベントは、チェンマイのみで開催されている。
かつてはチェンマイ以外の場所でも自由に飛ばされていたが、現在は航空保安法により、タイの6つの主要空港周辺でランタン及び、航空機に損傷を与える可能性のある物品の持ち込みは禁止されている。つまり、SNSでよく見かける、灯籠を一気に飛ばすイベントは、チェンマイの有料会場でしか見ることができない。そのため、旅行者からはこんな不満も上がっているのだ。
「有料会場のチケットが高騰しているのと、円安の影響で年々高くなっており、今年は2万5000円ほどでした。さらに祭り近辺はホテル代や航空券も値上げするので、3泊で50万円ほどかかりましたね。いくらチェンマイの物価が安いからといっても、気楽に行ける感じではなくなっています」(現地の旅行関係者)
チケットの高騰には理由がある。あと数年もすれば、ランタンを打ち上げるコムローイ祭りは禁止になるおそれがあるからだ。
「コムローイは紙で作られた熱気球なので、当然ながら、燃えると火事になります。有料会場でもランタンが燃えて騒動になっていることがよくあります。山火事の心配が懸念されるため、チェンマイでも地元のタイ人は迷惑してると聞きます。毎年、街中で火災が発生するし、今年も商業施設で火事がありました。なので、祭り自体がそのうちなくなるのでは、という声もありますね」
「塔の上のラプンツェル」に出てくる祭りとしても知られ、日本人にもSNS映えすると人気のコムローイ祭り。見られるのは今のうちかもしれない。
(泰野るい)