公明党の山口那津男代表が自民党清和会(現・安倍派)などによる政治資金パーティー裏金問題について「同じ穴のムジナに見られたくない」と痛烈に批判する中、永田町ではとある怪文書が出回っている。それは清和会がパーティー券のノルマを超える分を個々の議員に還流する「キックバックシステム」を始めたのは、公明党との選挙協力がきっかけだったというものだ。
怪文書には、公明党や支持母体の創価学会の最寄り駅から「信濃町駅裏情報」とのタイトルが付けられている。それによると、キックバックを政治資金収支報告書に記載しない「裏金作り」のきっかけとなったのは、2000年6月の衆院選。清和会会長だった森喜朗首相(当時)は前年10月に公明党との連立政権樹立を受けて、初めての選挙協力を行うことになった。
怪文書には次のように書かれている。
〈学会が自民候補を応援する代わりに、自民各候補に数百万円~一千万円程度の選挙協力金を要求してきたのがきっかけで裏金づくりが始まった〉
そして当時の清和会の事務局長の考案で生み出された「キックバックシステム」がそれ以降、続いてきたというのだ。
真偽はともかく、この怪文書がバラ撒かれたのは「同じ穴のムジナと見られたくない」などと自民党批判を繰り返す山口氏への、強烈なカウンターになるとの思惑からだろう。
公明党をめぐっては、岡本三成衆院議員が2018年6月と2019年11月に行ったパーティーの収支を政治資金収支報告書に記載していないとして、2022年12月に「週刊文春」が追及したことがある。
山口氏の発言は、動画投稿アプリTikTokに配信した動画の中で語られたものだ。山口氏は相次ぐ不祥事について、
「政権自体に不信感が強まる。国民の政治に対する諦めや怒りが募ってくる。信頼を取り戻すためにも、実態を明らかにすること。再発防止策を作り上げること。それを実行すること」
そう力説したが、その責任は公明党にもあるようだ。
(喜多長夫/政治ジャーナリスト)