「おしどり夫婦」と言われた高島忠夫・寿美花代夫妻の三男・高嶋政伸はかねてから、スキャンダルからほど遠い存在とされてきた。そんな「好感度俳優」に、元準ミスユニバース日本代表である妻・美元とのスキャンダルが勃発したのは、2011年夏のことだった。
2人は2007年のドラマ共演で知り合い、翌年、交際スタートからわずか6日後に高嶋が電話でプロポーズ。同年8月末に永田町の日枝神社で挙式後、帝国ホテルで盛大な披露宴を行ったが、すぐに価値観の違いが露見する。
すったもんだの末、2010年8月には高嶋が恵比寿の高級賃貸マンションを出て、夫婦は別居。その後、高嶋が離婚調停の申し立てを行うも不成立に終わったことで、2011年3月、高嶋が東京家庭裁判所に提訴したのである。
6月1日、法廷に姿を見せた2人は、高嶋が黒いスーツ姿で、美元は黒いジャケットに膝丈スカートだった。裁判は原告・高嶋の本人尋問からスタートしたが、次のように不満をブチまける。
「マンションの家賃、光熱費、外食費、私が料理を作る時も100%、私が出していた」
「結婚後、機嫌がよかったのは10日だけ。自分の思い通りにならないと、手が付けられなくなります」
「怒りのスイッチを押さないように、いつもビクビクして生活していた」
そんな毎日のストレスから不眠や頭痛を訴えるようになった、と心情を吐露したのだった。しかし、5分間の休憩をはさんで始まった尋問で、美元は高嶋の発言に真っ向から反論する。
「(お金を)もらったこともありません。(高嶋名義の)のカードも持っていませんでした」
そして高嶋の愛情が綴られた手紙や、酒に酔って暴力を振るわれたとする際の音声データなどを、証拠品として提出。裁判を傍聴した司法記者が言う。
「それでも『私には離婚する理由が見つからない』という美元に対し、裁判長は半ば呆れた様子でしたが、『夫』という言葉を使う彼女に対し、高嶋は最後まで彼女を『被告』と呼んだ。最後には『被告は恐怖の対象でしかありません。25年間の俳優人生をなげうっても離婚したいと思い、裁判を起こしました。愛情はもう一切ありません』と断言していましたからね」
そんな泥沼離婚裁判から2カ月半が経過した翌2012年1月31日。兄の高嶋政宏が、出演するミュージカル「エリザベート」の制作会見に臨むことになり、さっそく筆者も会見場へ。
むろん芸能マスコミの目的は、弟の離婚問題1点だ。ひと通りの質問を終え、いよいよ本題に。すると政宏は苦笑いで、
「泥沼騒動ですよね。泥沼は目の前にあったら避けていけるのに、ねぇ…。それ以上は言えないな」
ただ、「進展は?」との問いには、「ないですよ」として、
「パソコンを人生初めて買ったので、使えるようになって、政伸の記事を心おきなく見たいですね」
ブラックジョークを飛ばして報道陣を笑わせたが、結局は離婚が成立。落ちてしまった泥沼からなんとか這い出すことができたのは、この会見から10カ月後の11月のことだったのである。
(山川敦司)
1962年生まれ。テレビ制作会社を経て「女性自身」記者に。その後「週刊女性」「女性セブン」記者を経てフリーランスに。芸能、事件、皇室等、これまで8000以上の記者会見を取材した。「東方神起の涙」「ユノの流儀」(共にイースト・プレス)「幸せのきずな」(リーブル出版)ほか、著書多数。