自民党の派閥による政治資金パーティーの裏金事件を受けて、岸田文雄総裁(首相)の肝煎りで「政治刷新本部」の初会合が、1月11日に開催された。岸田総裁は国民の信頼回復に向けて党改革に全力を注ぐ意向を表明したが、「エッフェル姉さん」こと松川るい参院議員がメンバーに加わったことで、パーティーだけでなく「アレの問題」も再びクローズアップされそうだ。
それは国会議員の海外視察をめぐる、カネの使い方。松川氏は昨年夏、自民党女性局のフランス研修中、パリ市内のエッフェル塔前でハシャいだポーズを取る写真を撮影し、SNSに投稿したところ、強い批判を浴びた。結局、松川氏は女性局長辞任に追い込まれている。
昨年は新型コロナウイルスの感染法上の分類が「2類相当」から「5類」に緩和されたこともあり、海外視察は感染拡大前の2019年度並みに戻った。松川氏の名前ばかりが出てくるが、立憲民主党の安住淳国対委員長は、自民党の「事実上の国対委員長」と言われた御法川信英国対委員長代理と連れ立って、8月1日から4日までタイを訪れた。「タイの政治経済事情等調査」と称しているが、はたしてそうだったのか。
御法川氏は昨年9月の内閣改造・党役員人事でいったん国対を外れたが、「安住対策」として国対委員長代理に復帰した。維新は委員派遣を「物見遊山的な観光旅行だ」(馬場伸幸代表)として辞退した。
国会議員の海外視察に衆院は3億7000万円、参院は1億2665万円、つまり約5億円が2023年度予算に計上されている。政治資金パーティー券は税金ではないが、国会議員の海外派遣は税金でまかなう。自民党は「政治刷新」を言うなら、「物見遊山」との批判が強い海外派遣を取りやめるよう、主張すべきではないのか。
(喜多長夫/政治ジャーナリスト)