「ピラミッド・アイ・タブレット」と命名された石造工芸品がある。これが初めて一般公開され、目の肥えた専門家を驚かせたのは、2001年にウィーンで開催されたオーパーツ展覧会「未解明の謎展」でのことだった。
高さ約30センチで、頂上付近に目のようなものが描かれた、このピラミッド型オーパーツは、1980年代にエクアドルのラ・マナにある廃坑の、深さ10メートルほどの場所で発見されたものだ。それを同イベントのコーディネーターであるクラウス・ドナ氏が1999年、別の遺物調査でエクアドルを訪れた際に遺物の中で発見し、一瞬で魅了された。そこで、展覧会への出展が決まったのだという。世界のオーパーツに詳しい専門家が語る。
「このピラミッドは頂点部分にひとつの目が象嵌され、下部には13の水平な段が刻まれています。しかもこの目のデザインは、エジプト神話に登場する偉大な神であるホルス神の目がモチーフとされる『プロビデンスの目』にそっくり。プロビデンスの目は中世からルネサンス期にかけて、キリスト教でも三位一体の象徴とされ、現在も1ドル札や国章にデザインされているものです。さらに不思議なことに、目の部分に紫外線を当てると発光することから、このピラミッドはエジプト神話となんらかの関連がある工芸品ではないのかと、マニアの間で大きな話題になったんです」
ピラミッドの底には、黄金の埋め込み細工でオリオン座の配置が描かれているのだが、その下方にはサンスクリット文字で「創造主の息子がやってくる」と刻まれている。これはいったい、何を意味するのか。専門家が続ける。
「エジプトではナイル川を『天の川』としており、三大ピラミッドの位置がちょうど、オリオン座の三ツ星の位置と重なっている。つまり、三大ピラミッドはオリオン座をそのまま模した可能性が高く、それがこの小さなピラミッドに描かれていると…」
「ピラミッド・アイ・タブレット」はいつ、誰が、何を目的として作ったものなのか。本格的な学術調査が待たれるばかりなのである。
(ジョン・ドゥ)