はたして真実を語っているのはどちらなのか。サッカー日本代表の伊東純也をめぐる性加害報道のことだ。女性側が刑事告訴する一方、伊東側はその告訴内容がウソであるとして「逆告訴」する事態になっている。振り返ればこの逆告訴は、芸能界でも見受けられた。
まずは元V6の森田剛だ。2000年、テレビ朝日社員とともに女性タレントK子らに性的暴行を加えたとして、刑事告訴されたのだ。森田は一貫して性的暴行を否定する一方で、今度は森田が所属する旧ジャニーズ事務所が、K子の所属事務所社長ら4人を、恐喝および傷害で刑事告訴したのだ。メリー喜多川副社長は、事務所に乗り込んできた相手事務所関係者から暴行を受け、全治2週間のケガを負ったとされる。
のちにこの疑惑は、K子の狂言であったことが判明。森田の無実が証明されている。
元宮崎県知事の東国原英夫氏、かつてのそのまんま東も当時、たけし軍団に在籍していた後輩の元芸人を逆告訴している。
それは1997年に催されたオフィス北野の新年会に端を発する。その後輩が事務所の経費を無断で使い込んでいた疑惑に対して「先輩として」怒り、側頭部を蹴ったというのだ。東国原氏は暴行容疑で書類送検され、芸能活動を自粛した。
ところがこの後輩芸人がケガの程度を明らかにしないまま、一方的に500万円という高額の示談金を要求してきたなどとして、東国原氏が後輩を詐欺未遂容疑で刑事告訴し、逆襲に出たのだ。
その時は和解したようなのだが、10年後に再販された東国原氏の著書の中で、再びその後輩の名誉を傷つけるような記述がされていたとして、後輩が激怒。東国原氏と出版元を相手取り、名誉棄損で訴えた。最終的には東国原氏が50万円を支払う判決が出ている。
故・横山ノック氏といえば、セクハラ事件か有名だ。1999年の大阪府知事選挙中、アルバイトの女子大生が強制わいせつ容疑でノック氏を告訴。だがノック氏は「触っていない」と女子大生を虚偽告訴容疑で逆告訴するも、あっさり敗訴してしまった。
この逆告訴が仇となり、当時のセクハラ裁判史上最高額となる、総額1100万円の賠償金支払いを命じられたのだ。
伊東の逆襲は吉と出るか、凶と出るか。
(万力太郎)