将棋の藤井聡太八冠に伊藤匠七段が挑む、第49期棋王戦五番勝負の第3局が3月3日に新潟市で指され、先手の藤井棋王が105手で勝ち、対戦成績を2勝1持将棋(じしょうぎ=引き分け)として、初防衛に王手をかけた。
第4局は3月17日に栃木県日光市で行われるが、藤井八冠が勝てば、棋王戦初防衛に加えて、タイトル戦21連勝となる。伊藤七段がここから2連勝すると、藤井八冠は羽生善治九段が持つ「全タイトル保持期間167日」記録更新が確実となる、第6局にもつれ込む。
伊藤七段は対局後、次のように振り返った。
「あまり認識のない展開になって、どういう方針で指すか、一手一手難しかった」
序盤は角換わり腰掛け銀という両者の定石から、昼前に藤井八冠が第37手で7三桂という予想外の奇襲に出るなど、伊藤七段に揺さぶりをかけ続けた。金を互いに取り合う、一瞬も目が話せない勝負だった。
そんな藤井八冠だが、能登半島地震の影響を受けた北信越を回った今回の対局では、昨年にも増して髪がツヤッツヤに。もう、釘づけである。前髪も整えられており、「うちの子供もこんな秀才になったらいいのに…」と、藤井八冠と伊藤七段の攻防を眩しく見つめるマダムは多かったことだろう。
藤井八冠の髪質がクセ毛からツヤのあるストレートヘアに変わったのは、今から2年前。2022年4月の王将就位式で、日本将棋連盟から就位記念品として「高級ドライヤー」が贈られたことがきっかけだ。
藤井八冠の地元、愛知県のテレビ局は、連盟から送られたのがダイソン社の「Dyson Supersonic lonic Blue & Gold」であると特定。製品名の通り、高温の熱風でドライヤーの材質が変化しないよう、送風部に漆塗りや金箔を貼る日本の伝統工芸技術を取り入れた、被災地の輪島や金沢にも縁がある逸品だ。ネット上でのユーザー評価は4.5で「くせっ毛をサラサラ、ツヤの髪にしてくれる」「アホ毛を落ち着かせられる」と高評価だ。
お値段は、Goldの名に恥じぬ5万8300円。藤井八冠も2年間使っているうちに、スタイリングが手慣れてきたのだろうか。
湿気を含んだ3月の雨雪にも藤井八冠のサラサラ髪が乱れることはなかったが、第4局は藤井八冠が髪をかきむしる長考も見てみたいものである。
(那須優子)