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急に向かい風に変わって「波乱の予感」が大当たり/日本全国「旅打ち」行脚~江戸川ボート(下)

 3月4日、開設68周年記念のGI江戸川大賞の最終日。本来、優勝戦が行われるのは前日のはずだったが、春の嵐で1日順延になり、準優勝戦がある5日目は6Rで中止。選手はコンディションを維持するのが大変だったと思う。

 この日、10Rまでは土手側から2マーク方向に、1~2メートルの向かい風が吹いていた。北東もしくは東からの風。変化したのは後半だった。

 10Rに風向きが横風に近い南東の追い風になり、11Rには風がやんだ。12Rは直前になって、北からやや強め4メートルの向かい風が吹いた。

 満潮9時23分、干潮18時43分。つまり夕方までのレース中は、1マークから東京湾方向の2マークにかけての下げ潮傾向になる。5日目の途中打ち切りは「風向きと川の流れの向きがぶつかって水面が波立っているので、発走を見合わせる」状態が続いたのが理由だった。

 7R。風、潮の影響はさほどない。実力重視で舟券が買える。①松山将吾はこのシリーズで1着がない。最後インから勝ちたいはずだが、②と③は実力者の茅原悠紀と磯部誠だけに、分が悪い。②と伸びがいい④福来剛を1着に、2着3着に③と⑤山田康二を加えた3連単フォーメーションで勝負である。

 レースは②のマクリまではよかったが、3着はまったく買っていない⑥三嶌誠司で、3連単②④⑥9220円。ゲットできず。

 8Rは内枠が強い。力なら①平本真之か、②の井口佳典で決まり。2着③麻生慎介、3着に④北野輝季と⑤馬場剛を加えたフォーメーション12点でいく。

 レースは平本が逃げを決め、2着にはスタートが遅れた④北野が入った。1マークで内が外に膨らみ、北野には絶好の差し場に。3着⑤の①④⑤2690円。ドボン。

 気を取り直して9Rへ。シリーズで2着が1回だけの③野村誠は、買い目になし。これもドボン。

 10Rの風向きは南東、1マーク方向への追い風に変わった。風速は強めの2~4メートル。内枠勢の①西山貴弘、③瓜生正義はビッグレースの常連で、どんな条件でも大負けはない。だが④~⑥の外枠ダッシュ勢はマクリやすい。一発の可能性があるのは④大池佑来で、1着①③④から幅広くいこう。

 レースは好スタートを切った①と⑥荒井翔悟が、連に絡む展開に。1着は①③、3着は②⑥がやり合う。結果は①③⑥3220円。4レース続けてドボン。貯金もなくなり、焦ってくる。

 11Rは無風に近い横風になった。①柳生泰二か、江戸川鉄平といわれる地元②石渡鉄平で順当のレースとみた。1着①②、2着3着に③⑤を加えた、セオリー通りのフォーメーション舟券でいくことに。すると3着に⑤茅原が入って、①②⑤1110円。これは的中したが、1番人気だったのは残念で…。

 そして迎えた12R。風向きが直前に、向かい風になった。波乱の予感。このレースでは、狙いたい選手がいた。大外⑥小池修平だ。昨年9月、下関ボートで行われたプレミアムGIヤングダービーの優勝戦がある最終日に出かけた。優勝戦には小池も出走していた。

 レース場からホテルに戻り、下関の街に出てフグやクジラを食べていたら、同じ店に年配の夫婦が来店した。聞けば息子が下関の優勝戦を走ったという。その活躍を一目見ようと大阪からやってきた、小池の両親だった。優勝は逃したが、そこにはビッグレースを走った自慢の息子を語る、微笑ましい姿があった。

 江戸川GIの優勝戦は、6艇とも甲乙つけがたい。だが、このシリーズの小池は、2日目に④号艇、②号艇で連勝。いずれも1マークのブイを掠めるように回っての勝利だった。波乗り上手を強烈にアピールしたのだ。ここはまず、⑥から総流しである。

 それから昨年の当GIで、①号艇で優勝を逃し、雪辱を期す③長田依宗、モーターの角度、チルトを上げて一発に懸ける④湯川浩司と⑤佐藤大佑の1着、2着に⑥を加え、3着全通り、36点張りで。

 土手で観戦していた若者が「風向きが急に向かい風に変わったから、穴になるんじゃないか」と話している。そう願いたい。

 結果はイン勢が激しくやり合って、④湯川の差しがドンピシャで決まり、小池が最内をキレイに回って2着。3着は①杉山裕也だった。3連単④⑥①は1万8870円の穴に。よし、ゲットだ。湯川の4度目の江戸川GI勝利であり、小池と湯川は大阪の師弟コンビでもある。

 江戸川、孤独のギャンブルは3安打。終わりよければ、すべてよし。ただ、下関の夜があったから、強気に小池を買うことができた。旅打ちの効果満点だ。

(峯田淳/コラムニスト)

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