マレーシア・サラワク州の都市ルンドゥにあるテルク・メラノビーチで、とんでもない異臭を放つ謎の海洋生物の死体発見! そんなニュースを4月5日に報じたのは、マレーシアの新聞「ニュー・サラワク・トリビューン」だった。
報道によれば、昨年10月にはパプアニューギニアのとある島でも、巨大海洋生物の死骸が波打ち際に上がり、地元では「人魚グロブスター」として話題になったという。マレーシアの死骸も、これと類似する「人魚グロブスター」ではないかとして、大いに話題になっている。
グロブスターは、なんらかの生物の死骸や体組織の一部と推定されるものの、正体を確定できない漂着物のことで、「グロテスク・ブロブ・モンスター」の略。そう名付けたのは「オーパーツ」や「ファフロツキーズ」の命名者であるアメリカの動物学者、アイヴァン・サンダーソン博士だ。
グロブスターは世界各国の海岸で発見されており、近年では2017年3月、フィリピンのディナガット・アイランズ州の海岸には、謎の肉塊が打ち上げられた。この肉塊は全長およそ6.1メートル、重さ1.8トン。全身が白く長い剛毛のようなもので覆われており、発見時には新種のUMAではないかと、研究家がざわめき立った。
実は同様に全身が白い毛のようなもので覆われた物体の死骸は、2003年にも南米のチリで発見されている。分析の結果、重さ13トンもある巨大なタコである可能性が高いことがわかると、「クラーケン」の死骸ではないかとして、研究家の間で物議を醸している。
体毛のように見えるのは、腐敗した筋繊維だという。フィリピンで見つかった死骸にせよ、マレーシアの海岸に打ち上げられた死骸にせよ、これまでに大きな水棲生物が確認されたことがないため、その正体もさることながら、なぜこの場所に流れ着いたのかの検証が進められている。UMAを取材するジャーナリストが言う。
「基本的に、海で死んだ海洋哺乳類が陸に打ち上げられることは、めったありません。ただ、2017年2月にフィリピンで発生したマグニチュード6.7の地震後、毛で覆われた生物の死骸が、フィリピンのアイランズ州以外でも数多く見つかったという報告がある。地震が何らかの影響を及ぼした可能性は否定できません。というのも、海底でプレートが動くと高周波が発生し、海洋哺乳類は方向感覚を狂わされる。そのため、海に大量の魚が現れた場合は、大地震の予兆だとする説もあります。世界で地震が頻発する中で、巨大海洋生物の死骸には注意を払う必要があるかもしれません」
海底の地殻変動とUMA。その関係は気になるばかりだ。
(ジョン・ドゥ)