岸田文雄首相の訪米に際し、4月10日(日本時間11日午前)にワシントンDCのホワイトハウスで開かれた公式晩餐会での、バイデン大統領の衣装が問題になっている。
晩餐会での男性のドレスコードといえば、ブラックタイ(蝶ネクタイ)と決まっている。岸田首相もタキシードにブラックタイ姿だったが、隣のバイデン大統領が黒のネクタイ姿だったのだ。
安倍晋三氏ら歴代首相が訪米した時の晩餐会で、歴代のアメリカ大統領はみな、ブラックタイ姿だった。バイデン大統領も昨年4月、韓国の尹錫悦大統領を招いての公式晩餐会ではブラックタイを着用していた。岸田首相に同行した日本政府当局者は、
「確かにネクタイ姿でしたね。ホスト役であり、ホワイトハウスは公邸でもあるので、ブラックタイを忘れるということはないのですが」
バイデン大統領は物忘れの激しさが指摘されており、トランプ前大統領からは選挙キャンペーンで「トランプはアメリカを取り戻す、バイデンはアメリカを忘れた」と揶揄されている。仮にバイデン大統領がブラックタイをつけ忘れても隣にはジル夫人がおり、気付かないはずはない。
岸田首相は晩餐会の挨拶で、
「多くの豪華なゲストに息を飲み、妻には『誰が主賓かわからない』と言われた。大統領のすぐ隣の席に案内された時は安心した」
英語でそう冗談を飛ばし、参加者の笑いを誘ったが、バイデン大統領のネクタイ姿だけは、誰も笑えない話のようだ。
(田中紘二/政治ジャーナリスト)