あの「名コンビ」はやはり今も健在だった。「バス旅のプロ」こと太川陽介が、自身のYouTubeチャンネルで、元相棒の蛭子能収と5年ぶりに再会した様子を公開した。
蛭子は「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」(テレビ東京系)で太川とコンビを組み、32回もの旅に挑戦。2019年12月の放送で、バス旅を引退した。2020年には認知症を患っていることを公表。以降は旅に出ていない。
ところがいざ再会となると、5年ぶりとあって、太川は緊張気味。蛭子が好きだったという洋食店で、久しぶりに会話を交わした。
蛭子は太川のことは覚えていたが、バス旅はほとんど記憶がないようで、バス旅で夕食時に恒例になっていた太川のビール一気飲みを見ても、記憶が蘇らない。台湾でのバス旅で蛭子が転んだこと、旅の途中で競艇の予想をスポーツ新聞に送っていた話を振られても、何も思い出せない様子だった。太川から3泊4日でバス旅をやったことを覚えていないか、と聞かれても、思い出せないのだ。蛭子は、
「覚えていないといけないんだけど」
とポツリ。そんな蛭子に太川は、
「いいんだよ、忘れて」
さらに、
「一瞬、一瞬が幸せだったら、それでいいよ」
そう言って、蛭子をかばったのである。それを聞いて、蛭子は何度もうなずいた。バス旅ファンならずとも、涙なしには見られないシーンだった。
蛭子が週4日、介護施設に通っていると聞いた太川は、施設では競艇ができないから、今度一緒に行こうと誘い、蛭子を喜ばせる。そんな2人を見たテレビ誌記者が言う。
「蛭子はバス旅を何度も引退して復帰した過去があるだけに、今でもバス旅に帰ってきてほしい、という声が上がります。しかし、さすがに無理でしょう。バス旅のことはほとんど覚えていませんでしたし、足元もおぼつかない様子。かつての毒っ気はすっかり抜けていました。蛭子の復帰はもうありません。残念です」
蛭子の記憶からバス旅が消えても、ファンが蛭子の活躍を忘れることはない。
(鈴木誠)