これからの季節、大人も子供も健康診断シーズンに突入する。ところがSNS上では、日本国内の医者が「女子児童や女子中学生、女子高校生を上半身裸にしろ」と呆れた主張をしていことをご存知だろうか。今どきの時代にありえないセクハラ医師の言い分を深掘りすると――。
論争のきっかけは昨秋から今冬にかけて、健康診断で女児や女子生徒の乳房や半裸を盗撮するという、医師による性犯罪が相次いだことにある。
昨年10月、大阪府東大阪市内の病院に勤務していた兵庫県西宮市の医師が、大阪と兵庫の中学校や高校などに派遣されて健康診断の問診を担当した際のこと。40人超の女子生徒らの上半身を携帯電話やペン型のカメラで盗撮したとして、児童ポルノ禁止法違反などの罪に問われた。
裁判では健康診断中の盗撮のほかに大阪、兵庫の駅や電車内でも痴漢、盗撮に及んでいた余罪が明らかになったにもかかわらず、大阪地方裁判所は保護観察つき執行猶予5年という大甘判決。卑劣な性犯罪者は、すでに市中に放たれている。
東京都でも今年1月、足立区内の保育園の健康診断で性的な写真を撮影しようとしたとして、警視庁が性的姿態撮影等処罰法違反(撮影未遂)の疑いで、東京都渋谷区の医師の男が現行犯逮捕されている。
ところが警視庁は、この医師の勤務先と名前を秘匿。その後、起訴されたという報道はなく、この卑劣な性犯罪者も名前を伏せられたまま、すでに野に放たれたと推察される。
健診や診察のどさくさ紛れに盗撮やわいせつ行為に及ぶ、卑劣な性犯罪者がいる以上、服を着たままの診察、健康診断でなければ、女性ばかりでなく男性も安心できない(胸部レントゲン撮影は除く)。
ところがSNS上では、医師達が「服を脱がせないと背骨が曲がった側弯症の診察ができない、心音や呼吸音の聴診ができない」と、アキレた主張を繰り返しているのだ。
欧米の医師が使う診察マニュアルは着衣のままだし、イスラム教やヒンズー教が浸透した中東やインドで日本の医者のような診察行為をしようものなら、家族に報復、襲撃されても文句は言えない。
女児や女子生徒を脱がせて盗撮することを職権と勘違いしている日本のヤブ医者が今後、価値観や宗教感の異なる在日外国人の親に報復されることもありうるだろう。今まで日本人が従順すぎただけだ。
なお、医師の会員制有料ニュースサイト「m3.com」が昨年1月に実施した医師アンケートでは、「健康診断で子供を上半身裸にするべき」と回答した医師は、開業医で約3割、勤務医で約2割だった。
今まで健診にかこつけて女児や女子生徒を「視姦」してきた異常な医師が「上半身を全て脱げ」とSNSで騒いでいるだけで、「その必要はない」と考えている医師の方が圧倒的多数。欧米の医師がルーティンにしている診察業務すらこなせない日本の医者には、医師免許を返上してもらうしかない。
アンケート結果の詳細は同サイトを参考にしてほしいが、今は体操着や下着も薄手だから「聴診」や「側弯症の視診」に弊害が生じるとは考えにくい。もし服を着たままだと診断がつきにくい児童、生徒がいたら「要再検査」のお手紙を出せばいいだけ。異常な医者に体を舐め回されるがごとく診察されるより、病院で看護師や親が見守る中、専門医に診察を受けた方が確実かつ安心だ。
大事な従業員や園児、児童、生徒、そして家族や恋人を守るための自衛策は、今どき「胸を見せろ」「全部脱げ」という男性医師にはかからないこと、健康診断を依頼しないことに尽きる。
(那須優子/医療ジャーナリスト)