パ・リーグで最下位争いを演じている楽天と西武、そして珍しく開幕ダッシュを決めたと思いきや、いつの間にか「指定席」のBクラスに落ち着いている中日。少し熱心なプロ野球ファンなら、この3球団の「共通点」に気付いていたことだろう。いずれも監督がPL学園高校(大阪府)出身なのだ。
5月26日には西武・松井稼頭央監督の途中休養が発表され、セ・パ交流戦からは渡辺久信GMが監督代行となったが、シーズン終了までは一応、「休養監督」である可能性は高い。
以前、野球解説者の江本孟紀氏が、次のように語っていた。
「PL出身者というのは、やたらとプライドが高い。『自分がいちばん野球を知っている』と思い込んでいるから、他人の意見を受け入れようとしない」
3チームの苦戦の原因が本当に監督のプライドの高さにあるのかはともかく、PL学園出身者がプロ野球監督の4分の1を占めている事実は、同校がいかに人材を輩出したかを表している。80人以上をプロに送り込み、名球会の会員が7人もいる学校は、全国に数多ある野球強豪校の中でもPL学園だけだ。
ちなみに、プロ野球が12球団制となった1958年以降、同じ高校の出身者が同時に3人就任(シーズン開幕時。途中退任者の後任は含まず)したのは、わずか2度。1959年に松山商業(愛媛県)出身の森茂雄(大洋)、藤本定義(阪急)、千葉茂(近鉄)が揃い踏みしてから、今年が65年ぶりだった。
この2例が最多だが、2人同時というケースは、実は17例ある。いずれも歴史の古い広陵中(現・広陵、広島県)、甲陽中(現・甲陽学院、兵庫県)、和歌山中(現・桐蔭)、熊本工業(熊本県)、育英(兵庫県)、早稲田実業(東京都)、広島工業(広島県)の出身者によって記録されている。