東京都知事選(7月7日投開票)への出馬を表明している蓮舫参院議員は6月1日に、東京都庁の真下で行われた、生活困窮者に向けた食糧支援の活動を視察した。蓮舫氏は視察後、記者団に「本当に衝撃でした」との感想を述べた。ところが衝撃的だったのはむしろこのコメントであり、
「東京選出の国会議員をしているのに、実態を知らなかった方が衝撃だ」
という声が都民から噴出しているのだ。
この場所では毎週土曜日に、支援団体の人たちが無料で食糧を配布している。視察の模様を伝えた立憲民主党のウェブサイトを見ると、蓮舫氏は記者団にこう語っている。
「まず(支援を受けに来ている人の)数の多さに驚いた。この首都東京のど真ん中の都庁の足元で、食糧支援を受けている人が700人を超えている。ホームレスの人ばかりではなく、普通の身支度をしている人、子連れの人、女性もいる。高齢者だけではなく、若い人やカップルもいる。生活保護を受けず、家も仕事もあるが、ギリギリで生活をしている人が本当に増えている。この現状は本当に衝撃でした」
立憲民主党は社会的弱者への支援を重視することを、基本姿勢としてきた。しかも蓮舫氏は2004年から、東京選出の国会議員として活動してきた。このコメントは図らずも、蓮舫氏が足元の実態をまるで見てこなかったことを自ら明かしたといえる。
チグハグなのはそればかりでない。立憲民主党の東京都連幹事長を務める手塚仁雄衆院議員は蓮舫氏の出馬に際して、
「広範な支援をいただくため、一回党を離れていただき、完全無所属での出馬となる」
と述べ、離党の見通しを示していた。ところが立憲民主党のサイトを見ると、視察には同党の長妻昭政調会長、山岸一生衆院議員が共に参加している。
蓮舫氏は出馬会見で「小池都政をリセットするために、私は立つ」と発言したが、リセットを言う前に、足元で何が行われているか、都政の実態を勉強し直した方がいい。
(田中紘二/政治ジャーナリスト)