6月5日の20時10分、大井競馬場で3歳ダート3冠の第2戦「東京ダービー」(ダート2000メートル)がスタートする。
16頭立てで、前日正午時点の前売り人気を見ると、単勝1.8倍で1番人気のサトノエピックと、2.8倍で2番人気のラムジェットで人気を二分している。そして3番人気も7.2倍のアンモシエラと、今年から中央との「交流重賞」になったことがまざまざと示されるかのように、中央競馬から出走する4頭のうち3頭が単勝一ケタで上位人気を占め、レースの主役を担う様相だ。
つまり、馬券の売れ方から見れば、地元の地方競馬勢は完全にわき役という見立てだが、この前売り人気を見て「今年は荒れる番ですからね」と、地方競馬に詳しい競馬ライターがほくそ笑む。その理由の1つが、過去10年の3連単配当だという。
2023→ 1,950円
2022→564,970円
2021→432,750円
2020→240,080円
2019→ 7,590円
2018→173,350円
2017→ 2,690円
2016→705,810円
2015→669,140円
2014→ 8,740円
見事に配当が硬かった翌年は荒れている。この法則からいけば今年は確かに荒れる番だが、中央勢に開放されて交流重賞になった今年は、この鉄則が当てはまるとは限らない。しかし、前出の競馬ライターの読みは微動だにしない。
「中央から来たというだけで人気を被ってくれるのは、逆に言えば地方の有力馬が過少評価されているということ。これはおいしい。特に初めての挑戦で、中央勢はどのタイプが『東京ダービー』に向くか、完全にはわかっていません。実際に1、2番人気は『ユニコーンステークス』という京都の軽いダートを勝ってきた2頭です。ナイター競馬、大井の白砂の深いダート、すべてが未経験なら荒れる香りしかしませんよ」
いわく、出走ローテーションが今回の荒れる要素の1つだという。というのも、過去10年の「東京ダービー」で3着内に入線した30頭のうち、何と20頭が3冠第一戦の「羽田盃」からのローテとなっている。これは、今年も無視できないと言う。
「どのGⅠレースにおいてもローテーションは重要ですが、特に大井でビッグレースを勝つには地方の馬場の慣れは必要で、『羽田盃』の経験値は無視できません。今年は羽田盃から5頭出走しますが、中央勢ならそこで2着に来ているアンモシエラのほうが有力でしょう。そこから別の羽田盃組をもう1頭選び、中央勢の陰で人気が急落していますが、東京ダービーの激走馬を出す『東京湾カップ』組のマコトロクサイノホコ、シシュフォスあたりを組み合わせたら、余裕で50万を超える馬券となります」(前出・競馬ライター)
また、東京ダービーが荒れがちなのは、中央のファンと地方のファンの馬券の買い方の違いに理由があるという。前出の競馬ライターが締める。
「中央のファンはリッチだからか、3連単マルチ馬券をよく買います。ところが、地方のファンは懐事情もあって、1着固定馬券が大好き。有力馬が2着に沈んだだけで『こんなに配当がつくの?』という馬券がよく出現します。今回は中央のファンが上位人気から2頭を選んでマルチ馬券をたくさん買いそうですが、それが1頭しか来なかったら、しかも地方馬に負けて2着か3着に沈んだら…。交流第1回だからこそ、とんでもないお宝配当が夢じゃないと考えています」
はたして、交流重賞となって生まれ変わる「東京ダービー」は、過去のジンクス通りに荒れるのか、それとも中央勢が潜在能力でねじ伏せるのだろうか。
(宮村仁)