過熱する大谷翔平報道をめぐって、とうとう「場外乱闘」が起きた。6月12日付の「現代ビジネス」で、ドジャースが日本テレビとフジテレビに対して取材パスを凍結し、出入り禁止処分にしたと報じたのだ。
それによれば両局は、大谷がロサンゼルスに12億円で購入したという豪邸を、ドローンを使って上空から撮影、さらに近隣住民へのインタビューなど、度を超えた取材活動が大谷の逆鱗に触れたという。
事実、地上波テレビでは、大谷の自宅住所を特定できるGoogle Earth画像を番組内で拡散するという、個人情報漏洩にまで及んでいる。ドジャースと大谷、代理人がテレビ局に対し、取材パスの凍結にとどめ、法的措置に出なかっただけでも「寛大な処分」と言えなくはない。
大谷が激怒したのは、セレブの自宅に強盗が押し入る、家族が誘拐されて莫大な身代金を要求される、などの事件がアメリカでは頻発しているからだという。当然ながら、大谷と真美子夫人、愛犬デコピンも「狙われる」可能性がある。
ロサンゼルスの高級住宅街を舞台にしたセレブの強盗被害やストーカー被害は、枚挙にいとまがない。
スーパーモデルのミランダ・カーの自宅に、刃物を持った男が塀を乗り越えて侵入、顔や目を刺された警備員と銃撃戦になったことがある。キアヌ・リーブスはストーカーに自宅に忍び込まれ、プールで泳がれる被害に遭っている。
ジェニファー・ロペスの場合はというと、日中に清掃員を装って警備員の目を欺いたストーカーが1週間近く、ロペスの自宅内に潜伏していた。オーランド・ブルームのロスの自宅には泥棒が押し入り、推定50万ドルの窃盗被害に遭っている。本人はたまたまニューヨークに滞在中で、危害が加えられることはなかったのだが。
特に衝撃的だったのは、「ガガ様」ことレディー・ガガの愛犬フレンチブルドッグ誘拐事件だ。ガガはイタリアに滞在中だった2021年2月、彼女に依頼された犬の散歩代行業者(ドッグウォーカー)が、ガガの愛犬であるフレンチブルドッグ「コージ」と「グスタヴ」をハリウッドの高級住宅地で散歩させていたところ、銃を持った3人に襲撃され、2匹が強奪された。
ドッグウォーカーはドクターヘリで搬送されたが、胸部の弾丸を摘出する緊急手術を要するほどの重傷を負っていた。ガガは「犬を保護してくれたら何も聞かない」と、情報提供者には報奨金として50万ドルを支払うとの声明を出した。襲撃犯は18歳、19歳、27歳のギャング構成員で、実行犯の父親と情報提供者の知人女性を含めた5人が、殺人未遂などの罪でロス市警に逮捕された。
ハリウッド・セレブだけではない。ドジャースのチームメイトも、昨年だけでフレディ・フリーマンら4人が、自宅や愛車が狙われる窃盗被害に遭っている。
テレビ局の暴走による個人情報漏洩が深刻化するのは、これからだろう。大谷本人と真美子夫人、愛犬デコピンが危険に晒されるだけでなく、将来2人が授かるかもしれない「翔平ジュニア」の自由と安全にも暗い影を落とす。
大谷はただ野球を楽しみたいだけで、日本中の小学校にグローブまでプレゼントしてくれたというのに、アスリート史上最高額となる10年1014億円で移籍してからというもの、「悪いニュース」が出ることに嘆息するばかりだ。
(那須優子)