今春、競馬界で新規開業を果たした新人調教師は8人。どの調教師も馬を勝たせているが、最も勝利数が多いのは、5勝の福永祐一調教師だ。
ただ、これは3月から4月にかけて挙げたもので、5月以降は未勝利。勝った馬に関しても全て引退した調教師から引き継いだもので、厳密に言えば自厩舎で育てた馬ではない。真価を問われるのは、自厩舎からデビューさせる馬たち=新馬の走りからだ。
その新馬では6月2日の京都・芝1400メートルでカムイカル(牡)をデビューさせたが、2番人気で3着だった。3番手からレースを進めてラストは伸びたものの、前の馬をかわすまでには至らず。それでも及第点を付けられるレース内容で、未勝利は勝ち上がれるだろう。
そして、これからデビューさせる中には、高額で取引された馬が数多いから楽しみだ。その一頭、ダノンブランニュー(牡)が6月16日の東京・芝1400メートル戦でデビューする。
半姉に2022年の2冠牝馬スターズオンアースがいる良血馬で、2022年のセレクトセールで1億5400万円で取り引きされた。芝1400メートルのデビューは父ミッキーアイルを考慮してのものと思われるが、フットワークが大きくて広い東京向きだろう。戸崎圭太を乗せてどんな走りを見せるか、楽しみだ
同日の牝馬重賞マーメイドステークス(GⅢ、京都・芝2000メートル)には、転厩初戦のダイワスカーレットカップ(3勝クラス)を鮮やかに勝利したエーデルブルーメ(牝5)が出走する。騎手は前走と同じ、川田将雅だ。
最終追いは福永調教師が跨ってCWで行われ、6F85秒2―ラスト1F11秒2という好時計を、しまい強めでマークした。条件戦を勝ったばかりだが気配は上々で、さらに良くなった印象がある。なにより、デビュー時よりも馬体重が20キロ以上増え、パワーアップが著しい。54キロのハンデなら、チャンス十分だろう。
さらに、ハービンジャー産駒は京都・芝2000メートルで〈2・1・2・3〉の好成績。騎乗する川田は改装後の京都・芝2000メートルの勝率が50%だ。重賞初挑戦Vへ、好走条件は揃っている。
福永厩舎はこれまで重賞に5回出走して、アーリントンカップ(GⅢ)のチャンネルトンネル3着が最高着順。今回こそはエーデルブルーメともども、重賞初制覇を成し遂げたい。
(兜志郎/競馬ライター)