サッカーのJ1リーグは、6月22~23日に第19節が行われ、26日には第20節が行われた。
シーズンの折り返しを迎えたわけが、開幕前に優勝候補筆頭だった浦和レッズは、2チーム分作れるほど潤沢な戦力をそろえていたものの、現状、期待に応える成績ではない。
開幕戦でサンフレッチェ広島に敗れると、その後、第12節~14節までの3連勝はあったが、勢いには乗れず、前半の19節までで期待外れの11位(7勝5分7敗)に沈んでいた。
テコ入れで巻き返しを図りたいチームは、夏の移籍ウインドー(第2登録期間は7月8日~8月21日)を前に、早くも動き出している様子だ。
一部スポーツ紙で報じられたのが、MF本間至恩の獲得情報だった。これは、サッカーファンを相当驚かせた。
ベルギー1部のクラブ・ブリュージュに所属する本間は、アルビレックス新潟の下部組織出身で、クラブ史上最年少の16歳でデビューした逸材だった。
その164センチのドリブラーはすぐにファンタジスタと呼ばれ、日本代表を背負う逸材とも期待される中、22年7月にベルギーの名門クラブに移籍した。しかし、今季トップチームの出場は2試合のみとなっている。
まだ23歳と若いことから、出場機会を求めて別の海外クラブに移籍すると思われていたが、すでに浦和への移籍は合意間近だという。
ところが、「戦力アップ間違いなし」の補強に、浦和サポーターも大喜び…かと思いきや、なぜか歓迎ムードが微塵も感じられない雰囲気が漂っている。その理由をサッカーライターが解説する。
「ここ最近の浦和の補強パターンが仇となっています。海外クラブで戦力外になった日本人選手に、やたらと触手を伸ばしまくるんです。昨夏には、アンタルヤスポル(トルコ)のMF中島翔哉と、バルセロナB(スペイン)のFW安部裕葵を獲得しました。中島はようやく試合に絡み出してきましたが、安部はいまだにリーグ戦に出場していません。その上、今季はKVCウェステルロー(ベルギー)の期限付き移籍から復帰したMF松尾佑介も含めて、全員もれなく〝小柄なドリブラー〟なんです。そこに本間まで加わりそうなわけですから、『同じタイプの選手ばかり必要ないだろ』というのが、サポーターの本音です」
さらに、クラブの強化担当に不信を募らせているのは、守備の要であるDFアレクサンダー・ショルツと、元日本代表DF酒井宏樹の移籍報道だ。
「すでに酒井はオークランドFC(ニュージーランド)への移籍の準備でチームを離脱。ショルツもアルワクラヘ(カタール)の移籍に前向きです。酒井は出場機会こそ減っていましたが、ピッチ内外で存在感を発揮していました。このタイミングで主将と副主将を務める主力のディフェンダー2人を放出すれば、守備崩壊は時間の問題。浦和の補強ポイントは攻撃陣ではなく、守備陣であることは誰の目にも明らかだからです」(前出・サッカーライター)
浦和の27失点は、上位10チームの中で最多だ(第20節終了時)。このままでは後半戦に優勝争いに絡むどころか、早々にシーズン終了なんてことにもなりかねない。
一方で、23年度の営業収入はクラブ史上初の103億8400万円を計上し、潤沢な資金があることは間違いない。にもかかわらず、このパッとしない成績では、カネの使い方が「下手」と言われて、反論はできないだろう。
(風吹啓太)