終わり良ければ全て良し。岡田阪神の「アレンパ」のカギを握っているのは、西勇輝かもしれない。
西が先発登板した直近の試合は、7月7日のDeNA戦。チームはサヨナラ勝ちを収めたが、西は3回3失点で降板。先発投手としての責任を果たすことができなかった。
「6月23日の日曜日の試合が雨天中止となり、岡田彰布監督が先発ローテーションを再編したんです。23日に先発予定だった才木浩人を25日の火曜日にスライドさせ、これまで金曜日に投げてきた西が日曜日に回りました」(在阪スポーツ紙記者)
プロ野球界では「火曜日」と「日曜日」の先発投手が重要視される。火曜日から2カード6連戦が始まるので、その初戦を取るか否かで、チームの士気が大きく変わってくる。その重要どころを任されてきたのは、村上頌樹だった。しかし巡り合わせが悪かったのか、今季の村上は防御率こそ2.05ながら、3勝5敗と負けが先行している(7月9日時点、数字は以下同)。
「8勝2敗で防御率1.12と絶好調の才木に重要な火曜日を託し、勢いのないチームの雰囲気を変えようとしたのが、岡田監督の狙いです」(前出・在阪スポーツ紙記者)
才木にとって最初の火曜日登板となった6月25日は、敗戦に終わった。といっても0-1の投手戦で、
「ローテーションを再編してうまくいかなかった時のリスクは、ものすごく大きいんです。今までうまくいっていたことまで悪くしてしまうので」(球界関係者)
この場合の「うまくいっていたこと」は、才木の好投で勝率8割以上を誇った日曜日の試合だ。その日曜日を引き継いだ西は、6月30日のヤクルト戦で6回1失点と好投したが、チームは敗戦。2回目のサンデーマウンドは前述の通りだ。球界関係者が続ける。
「西は日曜日の勝敗に関わっていない、とも解釈できます。好投して勝利投手になれば、チームの雰囲気は好転するでしょう」
7月7日のように早いイニングで先発投手が降板すると、リリーフ陣の負担は増える。たとえ日曜日の試合に勝利しても、リリーフ投手がドッと疲れて月曜日の移動・休養日を迎えれば、チームの雰囲気はよくならない。西が好投しない限り、後半戦の巻き返しは厳しいだろう。
(飯山満/スポーツライター)