阪神は7月10日に甲子園球場で行われたヤクルト戦に4-1と快勝。4連勝で首位・巨人に0.5ゲーム差の2位に浮上した。
この日の立役者は、6回1失点と粘りの投球を見せた先発の大竹耕太郎と、プロ入り初スタメンで初タイムリーを放った野口恭佑の2人だ。
大竹は初回に村上宗隆に先制タイムリーを許したが、2回以降は本来の粘り強さを発揮し、ピンチを併殺で断ち切る投球を披露した。6回終了時点で投球数は83とまだ余裕があったはずだが、翌11日に試合がないことから、岡田彰布監督は早々に勝ちパターンへ移行。ゲラや岩崎に登板させることを優先して、大竹は早めのお役御免となった。
また、野口は4回、二死二塁で迎えた第2打席でセンター前にプロ初となる同点タイムリー安打を放ってチームに勢いを与えた。2-1で迎えた6回の第3打席、一死一・三塁からの打球はショートゴロとなったが、貴重な1点をアシストしている。
2打点で勝利に貢献した野口の今後の先発起用について、岡田監督は「(チャンスは)あるある、全然ある」と語ったが、12日からの中日3連戦での起用については「そんなんまだ決めてないわ」と、いつもの調子で明言は避けた。在阪スポーツ紙デスクが解説する。
「本来なら、野口をしばらく先発で試したいところでしょう。しかし、まだまだ体力面で不安材料があると聞いています。また、外野では島田海吏と前川右京が調子を上げつつあることが、岡田監督を悩ませていますね」
約1カ月前、6月9日のことだ。当時ファームの試合に出場していた野口について、和田豊2軍監督は「2年目で故障しない体はできてきているんだけど、そこにやっぱりスタミナが伴ってこないと…。どうしても連戦が続いたり、週末になると、明らかにパフォーマンスが落ちてしまう。そうなると出続けることが難しくなってしまう」と課題を指摘した。火曜から試合に出場し続けると「土曜、日曜で休みを取らないと続かない体力しかまだ持ってないので。まだまだ鍛えていかないといけない」と、野口の体力面を大いに不安視しているのだ。
実際に野口は、6月29日から1軍の試合に出場しているが、途中出場した7月7日の試合では3打席立ったところで足がつり、代走を出されている。
「1軍の試合は、2軍とは体力の消耗度でレベルが違う。野口の場合、フル出場が続くとパフォーマンスが落ちてしまう懸念がまだある。一流プロとなるには不可欠な『体力』に大きな懸念があると言っていいでしょう。しばらくは調子を見つつ、スタメンで使ったりベンチスタートだったりと、技術面とスタミナ面での同時レベルアップを図る必要がありそうです」(前出・在阪スポーツ紙デスク)
12日からは敵地で中日、巨人との6連戦。はたして野口がどの程度、試合に出場できるのか、ぜひ注目してほしい。
(石見剣)