オールスター戦前のレッドカーペットに、時おり互いを見つめ合いながら、手をつないで登場した大谷翔平夫妻。大谷のブラウンのスーツと真美子夫人の爽やかな白いノースリーブドレスパンツについて、記者から尋ねられると、
「BOSSです」
と、自身がアンバサーとなっているブランド「BOSS」を全世界にアピール。さらに別の米テレビ局のインタビューには、
「自分の愛犬の色。中には愛犬がプリントされてます」
そう明かしながら裏地のデコピンプリントを公開して、記者団の笑いを誘った。
関西大学の宮本勝浩名誉教授によれば、2024年に533億円の経済効果をもたらすという大谷、さすがソツがない。
実は大谷が着こなしていたデコピン色のスーツは、日本版BOSS公式サイトのオーダーメイドスーツのトップページで、モデルが着用しているブランド「イチ推し」にそっくりなのだ。
大谷が「BOSSです」と言ったのを聞いた視聴者が早速、スマホでBOSSを検索すると、大谷と同じスーツが視界に飛び込んでくる…という仕組みだ。大谷はイチロー以来の本塁打だけでなく、テレビの向こう側にも場外ホームランをかっ飛ばしていた。
オールスター戦前に連続サヨナラ負けを喫したドジャースのロバーツ監督より、ドイツ発のファッションブランドBOSSの方が、大谷起用法で成功しているかもしれない。これまでのBOSSのメインターゲットは50代、オジサマ御用達ブランドというイメージが強かったが、2022年春から顧客の若返りを図ると発表した。新たなBOSSのメインターゲットは、30代から40代。BOSSよりカジュアルダウンしたHUGOは20代、30代前半にリブランディングした。
7月5日に30歳になったばかりの大谷は、2020年春から日本版のアンバサダーに起用されており、昨年のWBCで着用していたキャップ、パーカー、ニット、リュックは全て完売。今季オープン戦後に発売されたコラボジャケットも、即完売となった。BOSSは大谷効果で、50代の固定客から新たな顧客層の20代までを取りこぼすことなく、リブランディングに成功。さらに酷暑のテキサス州アーリントンでお披露目したデコピンスーツのおかげで、14万円代から買えるオーダーメイドの秋冬スーツも、売り上げアップが期待できそうである。
これで後半戦、三冠王もしくは本塁打と盗塁の40-40を達成しようものなら…。大谷の経済効果はどこまで跳ね上がるのか。
(那須優子)