梅雨明けの炎天下、激闘必至なのが7月21日に小倉競馬場で行われる「中京記念」だ。本来はその名の通り、中京競馬場で開催される〝穴党必見〟の名物レースだが、今年は阪神競馬場のスタンド改修工事による開催日程変更の影響で、小倉で代替開催される。
当然、左回りで直線に坂のある中京競馬場と、右回りの直線平坦の小倉競馬場とでは、競馬がまったく違う。しかも従来の芝1600メートルではなく、芝1800メートルで行われる。まもとなら過去のデータがあてにならないのは当然だが、幸運にもこの中京記念は21年と22年、当時は京都競馬場の改修が理由で小倉で開催されている。
関西在住の馬券師ライターは、そんな近年のデータなどを元に「今年も堅くは収まりませんよ」と馬券ファンをあおるのだ。
「小倉競馬場の重賞は、中京以上にまさにローカル色の強い重賞と考えていい。福島競馬場に近い。つまり、その競馬場を得意とする馬の独壇場です。21年と22年の小倉開催で馬券になった馬たちは、2年連続で2着だったカテドラル(今年も出走)は22年出走当時、小倉で3戦2着2回という猛者でした。また、21年1着のアンドラステは小倉で1戦して2着、22年に6番人気で1着となったベレヌルはそれまでの3戦がすべて馬券になっていた。また、同年3着のファルコニアは2戦1勝でしたね」
中京開催ではそこまで同一競馬場の好走実績は関係を持たないようだが、小倉では無視できないというのだ。すると、馬券の中心は小倉好走馬から選ばざるをえなくなるが、そこは出走させる厩舎がさすがにわかっているようだ。
というのも、今回、出走馬をざっと見ただけで小倉を得意としている馬が、16頭中の半数に近い8、9頭ほどいる。さすがに全馬は買えないだろう。となると、さらなる選択基準が必要となるわけだが…、
「ここで21年と22年の結果が役に立ちます。この2年だけ、安田記念で大凡走したカテドラルが馬券になっている。つまり東京競馬場の直線の長い左回りから、小倉の直線の短い右回りになったことで一変したわけです。このデータは同じ左回りの中京では役に立たない。さらに言うなら、今年は同じ距離のエプソムカップ(東京/1800メートル)で伸びきれなかった馬たちが激走する可能性が高いでしょうね」(前出・馬券師ライター)
となると、安田記念からの臨戦はエルトンバローズ(8着)とカテドラル(16着)、エプソムカップからの臨戦はアルナシーム(5着)とセルバーグ(7着)だが、前出の馬券師ライターは、この中の3頭には魅力を感じないという。
「カテドラルは8歳でもう伸びしろはありません。今年は得意の小倉でも凡走しています。エルトンは一瞬買いたくなりますが、小倉は未経験。それだけならまだ押さえる価値はありますが、最近の競馬を見ると完全に左回り巧者。安田記念は8着ですが14番人気でしたから、むしろ好走したんです。アルナシームは同じ舞台の『小倉大賞典』で1番人気ながら4着。買っても押さえまででしょう。そうなると、セルバーグしかいません。今年の成績は13着、3着、12着、7着と、パッと見は飛びつけませんが、唯一の3着が小倉大賞典。一変する匂いがプンプンしますね。3連単の軸に置いて攻めるべきでしょう」
小倉での2回の開催では1番人気こそ馬券になったが、その他の人気馬はすべて馬券圏外に消えている。しかもローカル重賞の場合は、こうした独特の傾向は続くことがほとんどだ。
ならば今年は、1番人気とセルバーグの2頭軸マルチで小倉得意の穴馬を狙う。梅雨明けの本格的な夏馬券戦略として、最高の出だしとなるはずだ。
(宮村仁)