7月23日、動画配信サービス「SPOTV NOW」の爆弾発表はサッカーファンを動揺させた。
「【重要】2024/25シーズン プレミアリーグの配信に関して」というタイトルとともに、「当社は権利者との契約に基づき日本国内における2024/25シーズンのプレミアリーグ配信権を保有しておりましたが、今般、当事者間の協議により、契約を終了することとなりました」
なんと今シーズンのプレミアリーグ(イングランド)の配信の取りやめと、当該コンテンツの配信は7月23日で終了することを報告したのだ。
急な〝店じまい〟をした詳細な理由がなかっただけに、Xで「SPOTV」がトレンド入りしたのは当然だ。サッカーライターは驚きを隠さなかった。
「そもそも2022/23シーズンから、3シーズンにわたってプレミアリーグの放映権を獲得していました。特に今シーズンは日本代表選手が目白押しで、MF遠藤航(リヴァプール)、DF冨安健洋(アーセナル)、MF三笘薫(ブライトン)に加えて、MF鎌田大地(クリスタル・パレス)、DF菅原由勢(サウサンプトン)がリーグに参戦し、日本代表を見るならプレミアリーグというのがファンの合言葉です。過去一番の盛り上がりにSPOTV側は大々的に宣伝していました。配信終了のリリースを発表した後にも、SPOTVのHPのトップ画面には、『三笘薫・大谷翔平などの日本人選手中心に配信中!』という文言が残ったままで、現場がドタバタしていたことは伝わってきます」
ところが、ファンが意気消沈したのは束の間だった。今度はU-NEXTが、プレミアリーグと7年間の契約を締結したと発表。2030/31シーズンまで日本国内で独占配信を開始するとブチ上げたのだ。
まさに、地獄から天国。すでにU-NEXTは8月9日から「U-NEXTサッカーパック」の提供を告知している。しかし、このドタバタには相当な駆け引きがあったのではないかと、前出のサッカーライターは話す。
「韓国の動画配信サービス『SPOTV NOW』と、日本の『U-NEXT』のバチバチが目に浮かぶようです。実は『U-NEXT』は『SPOTV NOW』の契約が終了した後、2025/26シーズンから放送権を奪い取るのではいかとウワサされてはいました。ところが、まさかの〝前倒し配信〟ですから、その裏ではかなりの議論とマネーが動いたと考えられます。とはいえ『SPOTV NOW』のプレミア撤退は唐突なようですが、実は6月初旬からパックの新規受付を停止していたことで伏線はあったとはいえます。それでもプレミアと3年契約していたわけですし、来季の配信がなくなることはファンにとっては寝耳に水。驚いたのは当然です」
では、U-NEXTが前倒し配信を始めることは、ユーザーにはどう受け止められているのだろうか。
「おおむね好意的です。『SPOTV NOW』はXでの視聴がしづらいなど、多くのユーザーから不評でしたからね。しかもU-NEXTは今後7年というわけですから、プレミアファンは安心して契約できる。まさに配信の『日韓戦』に勝利した感じでしょうか」(前出・サッカーライター)
料金については一部から不満の声が聞こえているが、昨今の放送権料の高騰ぶりからするとやむを得ないところか。
海外サッカーの放送権については常に振り回されまくりのサッカーファンだが、これで8月17日のプレミア開幕まで、ひとまずゆっくり寝られそうだ。
(風吹啓太)