「高級下着に子供のおもちゃ、贈答品の下仁田ねぎまで政治資金で賄っていたなんて、いくらなんでもやり過ぎだろ!」
そんな声が身内である自民党内からも噴出したのが、2014年10月に勃発した、小渕優子経産相のデタラメな政治資金問題だった。
安倍内閣の目玉として経産相に就任した小渕氏は、後援会では毎年、明治座を借り切って観劇会を開催していたが、2010年と2011年の収支報告書に記載されたその収入は740万円。ところが小渕氏の政治資金管理団体による2年間の支出は3400万円。つまり、そこには2600万円もの差額が生じていたと「週刊新潮」が報じ、永田町に激震が走ることになった。
「差額を小渕氏の政治資金団体が補填していたのであれば、当然ながら有権者への寄付行為とみなされ、公職選挙法に抵触します。実際より収入を少なく報告していれば、政治資金規正法の虚偽記述となる。収支が合わない報告書をそのまま提出するなど、新人議員でもやらないようなミスといっていいでしょうね」(全国紙政治部記者)
だが、小渕の金にまつわる疑惑はこれだけに留まらなかった。なんと小渕氏が2008年から2012年までの5年間、政治資金団体を通じ、実姉がデザインを手がける衣類や雑貨を扱う東京・南青山のブティックに、362万円もの支払いがあったことが発覚したのだ。
「収支報告書には化粧品やベビー用品、高級下着などが『事務所費』『組織活動費』の名目で計上されていたほか、贈答品として約60万円分の下仁田ねぎも購入していたことが明らかになった。むろん、こういった物品購入は歳費で賄うべきであることは、言うまでもない。こんなデタラメがまかり通っていたとは、アキレ返りますね」(前出・政治部記者)
ただ、購入した物品リストを見る限り、作為的な工作はなかったのでは、というのが大方の政治記者の見立てで、会計士に丸投げしていたと思われるものの、
「父の恵三氏も金に無頓着で、政治資金集めが下手な政治家と言われていましたが、まさか2代にわたってとはねぇ…」(与党関係者)
2014年10月20に記者会見で辞任を発表した小渕氏は、
「政治資金収支報告書の提出は事務所スタッフが行い、何かあれば私の方に言ってくるものだと思っていた。私自身、わからないことが多すぎる。なんでこうなっているのか、疑念を持っています」
まるで他人事のような言い訳に終始したのである。とりあえずは、
「政治団体とは関係ない、外部から弁護士や税理士などの専門家を入れて、客観的な調査をしていただく」
と述べて、会見は終了。ところがこの日の午後には「うちわ配布問題」で松島みどり法相もダブル辞任することになり、政治部記者は永田町界隈を奔走。彼らにとっても、長い長い1日になったのである。
(山川敦司)