プロ野球12球団とNPBは「試合観戦契約約款」を一部改定し、「写真・動画等の撮影及び配信・送信規定」を制定したと発表した。
これにより、一眼レフカメラや携帯電話、スマホなど種別を問わず、インプレー中の写真・動画をSNSにアップすることが禁止される。撮影対象は選手のみならず、監督やコーチ、チアリーダー、マスコット、その他の球場関係者が含まれる。
新規定が制定された背景には、SNSの普及とそれに伴う球場内での撮影や配信に関する、ルール作りの必要性があるとされている。だが突然の改定で、テレビ中継にはない映像が見られなくなると懸念する声が上がっている。
「推しの選手のプレーを撮ってもポストできないってどうなん?」
「肖像権の問題? ファン離れが加速しそう」
そうした批判の声が圧倒的だ。最近は審判の誤審が問題視されており、「拡散防止が目的ではないか」と邪推する向きも。
そんな状況を煽るかのように、Xにアップされ物議を醸しているのが、ロッテ・吉井理人監督が手にする「データ画像」だ。そこにはベンチの吉井監督が選手の各種データに目を通す姿が写っており、どうやら望遠レンズで秘かに撮影されたようだ。もしこの写真が相手チームに流出していたら…と考えると、由々しき問題といえるだろう。
近年、チアリーダーや売り子などを強調して撮影する悪質なケースが散見され、問題視されていた。多くはスマホによる撮影だが、わざわざ「一眼レフ」や「三脚」などの使用を禁じているのは、望遠レンズによる「スパイ行為」を防止する目的があるのだろう。
様々な「試合データ」について、NPB(日本野球機構)が定める「試合観戦契約約款」の第2条(6)では、以下のような定義が示されている。
〈「試合データ」とは、投手の1球ごとの投球のコース・球種・球速に関する情報及び打者の1球ごとの結果に関する情報、打席ごとの打撃結果に関する情報、得点に関する情報等をいう〉
9月1日の阪神×巨人戦(甲子園)では7回に、観客席からフラッシュを使用した撮影があり、「カメラのご使用はフラッシュ機能をオフにしてご使用ください」との注意喚起がなされた。うっかりカメラのフラッシュをオンにしていた可能性もあるが、発光源がバックネット裏だったことで「投手を攪乱させるためでは」といぶかしむ声も。
好きな選手を自由に撮影できなくなるのは、ファンにとって残念なことだが、これ以上、規則が厳しくならないためにも、ルールとモラルはしっかりと守りたい。
(ケン高田)