今週から秋競馬がスタート。中山と中京の2場開催で、中山では紫苑ステークス(GⅡ・芝2000メートル)と京成杯オータムハンデ(GⅢ・芝1600メートル)が、中京ではセントウルステークス(GⅡ・芝1200メートル)が行われる。
土曜日の紫苑Sは重賞に昇格して8年になるが、オークスからの直行組が8連対と、他を圧倒している。今年、それに当てはまるのは、ホーエリートとミアネーロの2頭。オークスではホーエリート10着、ミアネーロが14着だったが、その1走前のフラワーカップではミアネーロ1着、ホーエリートは0秒1差の2着だった。力の差はほとんどないとみていい。
1番人気は武豊騎乗のボンドガールだろうが、データからは先の2頭を優先する。調教では力強い動きをしており、デキは申し分ない。
日曜の京成杯オータムHは、過去10年で夏場のレースを使ってきた馬が8頭、勝利している。年齢別では5歳馬が7頭と突出。さらに言えば、ハンデ頭が勝ったのは昨年のソウルラッシュ1頭で、連対したのもこの馬だけだ。今年は7歳馬エアファンディタと8歳馬カテドラルが58キロでハンデ頭となっているが、データからは買いづらい。
重視しているのは5歳馬のディオ。負担重量は57.5キロとハンデ頭に次ぐものだが、前走の関屋記念で57キロを背負って2着だったので、仕方あるまい。
その強みはなんと言っても、4走前に同じ舞台で勝利していることにある。57キロを背負って4番手から抜け出し、1分33秒4の時計で走ったレース内容は、なかなかのものだった。ルメール騎乗の3歳牝馬アスコリピチェーノは手強い相手だが、現在の充実ぶりからして、太刀打ちできるとみるのが筋である。
そしてセントウルSは2000年から2022年まで3年連続して中京で行われ、いずれも1番人気馬が勝利している。そのうち2021年と2022年は牝馬によるもの。力のある牝馬であれば、牡馬を蹴散らすことは十分可能だ。
そうした事情があってか、牝馬勢が人気の中心となっているが、出色なのは脚質転換に成功したモズメイメイだ。以前は行くだけの馬だったのが、前々走の北九州記念で控えて結果を出すと、前走アイビスサマーダッシュでは馬の間を割って、鮮やかに抜け出してみせた。コントロールが利くようになって、ひと皮むけた印象だ。中間、栗東の坂路を軽快なフットワークで駆け上がり、調子は万全。重賞連続制覇への期待は膨らむ。
(兜志郎/競馬ライター)