この数字はおかしくないか。9月11日のセ・リーグ首位攻防戦で、巨人が9回表に4四死球6安打9得点で、大逆転勝利を収めた。その舞台となった広島の本拠地マツダスタジアムの観客動員数は、主催者発表によれば2万9869人。前日は3万283人だった。最大収容人数は約3万2000人だという。2018年以来、7年ぶりのリーグ優勝へ向けた大一番にしては、ちょっと少ないのではないだろうか。
「巨人はマツダスタジアムを苦手としていました。ビジターチームの応援席が三塁側ファウルゾーンの一角に限られているため、四方全てがカープファンで埋まります。苦手な要因に、その独特の雰囲気を挙げる声が聞かれました」(スポーツ紙記者)
この日もスタンド席の四方が真っ赤に染まっていたように見えた。9回裏の再逆転を信じ、ゲームセットの瞬間まで席を立たなかったファンは多かったが…。
「2018年の優勝当時とは、お客さんの層が少し変わってきたと思います」(地元メディア関係者)
ここで思い出されるのが「カープ女子」である。「カープ女子」が流行語大賞の候補にノミネートされたのは2014年。この年の主催試合の観客動員数は190万4781人で、1試合平均2万6455人。その後も上昇傾向が続き、2015年211万266人、2016年215万7331人、2017年217万7554人、2018年223万2100人、2019年は222万3619人だった。2017年からの3年間は1試合平均でも3万人を超えており、その人気はコロナ禍でイベント制限がなされるまで衰えなかった。
今年は9月11日終了時点で、広島の主催観客動員数は175万2223人。12球団中9位だ。1試合平均で2万9204人。最大観客数は3万1710人である。
収容人数が大きい球場を本拠地とする阪神、巨人、ソフトバンクが上位を占めるのは仕方がないとしても、今年の優勝争いにより、観客動員数が「カープ女子ブーム」に沸いた頃に近づいたと言えそうだ。
「ブーム時には野球のルールもよく分からない10代、20代の女性ファンが多かったですね。イベント制限の解除後、球場に戻ってきてくれたファンは、本当に野球と広島カープが好きで、応援しています。男女ともに若いファンが多いのは、当時と変わりません」(前出・地元メディア関係者)
新井カープが巻き返しに成功すれば、第2期カープ女子ブームの再来となるのだが、はたしてどうなるか。
(飯山満/スポーツライター)