V奪還へと突き進む巨人に、不穏な空気が漂い始めている。長年、巨人の取材に携わってきたスポーツ紙ベテラン遊軍記者が明かす。
「それはオフに行われる契約更改交渉で勃発しそうですね。金額面に関して巨人は太っ腹。優勝すればそれなりのご祝儀相場になるでしょうが、問題は主力選手のメジャー挑戦問題です」
これまで巨人では海外FA権を行使した選手はいるものの、ポスティングでメジャー移籍した選手は、例外的に山口俊のみ。ところが今オフは、投打の柱が海外移籍容認を求めて、球団とバトルを繰り広げることになるという。前出の遊軍記者は、その具体名を挙げた。
「それはズバリ、4番の岡本和真と、今やエースとなった戸郷翔征の2人ですね。今季、メジャーリーグで活躍する今永昇太や、故障から復帰した山本由伸などがポスティング移籍している。岡本と戸郷のメジャー熱が高まるのは仕方がないことです」
当然ながら、巨人が両選手の早期メジャー挑戦に難色を示すのは間違いない。ただ選手側も、このまますんなりと引き下がるとは思えない。球団OBのひとりは、
「巨人としては監督手形など将来的な身分保障などを持ち出して対抗するでしょうが、金額的にはとうていメジャーには太刀打ちできない。今オフの移籍は無理としても、近い将来の移籍を容認しない限り、モメにモメることは間違いない」
しかも、だ。今季復活した菅野智之もなんとかメジャーに潜り込もうと画策中、との情報もある。
「ドラフト1位の浅野翔吾が成長しているが、まだまだこれからの選手。主力選手が大量離脱となれば、今季優勝したとしても、巨人が黄金期を迎えるのは難しいでしょうね」(前出・遊軍記者)
阿部巨人とってはバラ色のオフとはいえず、頭の痛い問題を抱えることになる。
(阿部勝彦)