自民党総裁選で「決選投票に残る有力候補」とされるひとりが、小泉進次郎元環境相だ。ところが「進次郎潰し」が自民党内で秘かに行われているという。動いているのは、JA(農協)だ。
というのも、環境相になる前の2015年から約2年間、自民党の農林部会長として農業改革に携わり、JA潰しを行ったからだ。そしてその改革の裏には、菅義偉元首相がいた。総裁選において、菅氏は小泉氏をバックアップし、支持を表明している。小泉=菅コンビは、JAにとって絶対に阻止すべき存在なのだ。
小泉氏による農業改革=農協潰しの影響で、全国の農協を指導・管理し、政治活動を行ってきたJA全中が事実上、解体されるなど、JA関係者は痛手を負った。JAの資金源である肥料、農機具などの「独占化」も自由化されそうになったが、組織を挙げての「抵抗」で、なんとか途中で改革を頓挫させている。
菅氏が街頭演説で明言した「進次郎支持」と全面バックアップは、JAにとってはまさに「悪夢の再来」なのだ。
かつて45万票といわれた自民党の農協票は今や約21万票まで減ったが、自民党支持団体としては五指に入る。この党員票をいかに配分するか。JA関係者が明かす。
「石破茂元幹事長、茂木敏充幹事長の決選投票が望ましいが、これは難しいようだ。まず石破さんを上位2位に入れるように動く。しかし石破さんが我々の支援なしでも上位2人に食い込めるとの見通しがつけば、小泉さんを潰すため、高市早苗経済安全保障担当相を応援し、2位に入れる」
さらには農林族といわれる国会議員への「小泉潰し」のロビー活動も活性化させるという。
最近は突然、米不足になるなど、農政への不信感は高まっている。JA改革は国民目線では必要になるが、総裁選は自民党員だけの投票である。
(健田ミナミ)