社会

「飲食店が夜8時に閉まる」重大問題が起きた経営者の苦境ホンネ/「京都インバウンド」最新ウラ事情③

 国内外の旅行客を問わず、観光地として人気の高い京都。しかし、インバウンドの増加により、あらゆる問題が浮き彫りになっている。交通渋滞や外国人観光客による迷惑行為が注目される中、地元住民が最も困惑している重大問題について話を聞いた。

「今、最も困っているのは、飲食店が早く閉まることです」

 京都は観光地だけでなく繁華街としても知られているが、夜になると飲食店の多くが早めに閉店してしまうというのだ。続けて聞いてみると、

「市内の飲食店は、夜8時から9時頃にはほとんどが閉まってしまいます。先日も仕事終わりに中華料理店に入ったところ『今から作っても時間がかかるので』と断られました。チェーン店でもスタッフがいなければ23時には閉まるので、仕事終わりに食事をする場所が本当に限られています」

 京都の飲食店はなぜ夜遅くまで営業できなくなっているのか。京都市内の飲食店関係者によると、最も大きな理由は「人手不足」。さらには「外国人観光客を歓迎しない」という事情も関係している。

「人手不足がひとつの大きな原因です。加えて、外国人観光客を入れるとトラブルになることが多い。日本語が通じないと注文に時間がかかり、他のお客様に迷惑がかかります。そういう面で、外国人観光客をあまり受け入れたくないのが本音。それに、営業しても利益が出にくい、というのもありますね」

 今年の祇園祭で、その影響は顕著だったという。市内飲食店関係者が続ける。

「祇園祭の期間中、地元の多くの店が閉まっていました。夜の烏丸通にいたのは主に中高生で、外国人観光客はほとんど見かけませんでした。日本語のみの看板や現金払いしかできない店なので、外国人観光客は立ち寄りづらいのでしょう。観光客は山鉾(写真)を見た後、すぐにホテルに戻ってしまうため、街には人がいても、飲食店は開店休業状態でした」

 かつてインバウンドの波が来る前、祇園祭は飲食店にとって稼ぎ時で、「祇園祭価格」という特別料金を設定する店は多かった。しかし現在では人手不足の影響で閉店を余儀なくされ、さらに外国人観光客の来店が減少したため、暇を持て余す結果となっている。

 観光都市としての魅力は増す一方で、地元商業者や住民が直面する課題は深刻化しており、京都市がこの問題にどう対処していくかが注目される。

(京野歩夢)

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