J1リーグは残り10試合を切り、熾烈な優勝争いが繰り広げられている。
そんな中、毎年のように「優勝争いよりも熾烈で面白い」と言われるのが、残留争いだ。今季も最後の最後までもつれ込みそうである。
例年なら下位2チームが自動降格、下位3番目のチームがJ1参入プレーオフに出場していたが、今季は下位3チーム(18位~20位)が自動降格する。現段階で下位に沈む20位・サガン鳥栖(勝ち点24)、19位・コンサドーレ札幌(勝ち点26)の2チームは厳しい。
鳥栖は今夏、川井健太監督との契約を解除し、新たに木谷公亮監督体制になったが、主力選手5人が他チームに移籍。さらにチームの得点源であり、エースのマルセロ・ヒアン(12得点、3アシスト)が8月末に全治8週間のケガで離脱した。直近の成績は1分8敗と、ドン底状態にある。
例年、主力選手を取られながらもアカデミーで育てた選手や、他チームでくすぶっている選手を補強して、なんとかJ1で戦ってきた鳥栖だが、初のJ2降格の可能性は高い。
札幌は最下位を独走状態だったが、今夏にMF大崎怜央を獲得。さらに韓国代表経験のあるDFパク・ミンギュを獲得して守備が安定した。
ところが、期待されていたFWジョルディ・サンチェス、アマドゥ・バカヨコはチームにフィットしていないのか、いまだに先発で起用されていない。その他にもガーナ人選手2人を補強しているが、試合には出場していない。3連勝で最下位は脱出したが、前半の不振の影響は大きく、残留は簡単ではないだろう。
残る1枠は、18位のジュビロ磐田(勝ち点32)、17位の湘南ベルマーレ(勝ち点32)、16位の柏レイソル(勝ち点34)の中から脱落するチームが出る可能性が高い。
磐田は一時期、中位まで順位を上げていたが、ズルズルと落ちてきた。得点ランキング3位(15得点)のジャーメイン良、前線でボールが収まるマテウス・ペイショットをどう生かすか。彼らが前線で孤立するようだと、勝ち点を積み重ねるのは厳しい。
湘南は残留争いの常連チーム。毎年のように巻き込まれながらも、残留してきた。夏場に上昇しそうだったが、失速。ここにきて、チームの得点源であるルキアン(11得点)が乱暴な行為で退場し、3試合出場停止処分(10月6日の東京ヴェルディ戦まで)を受けたのは痛い。
柏は2試合連続無得点。決定力に課題がある。木下康介が9得点と気を吐いているが、頼みの日本代表FW細谷真大は、わずか4得点。それがチームの順位に響いているかもしれない。
これら3チームのエース・ストライカーが、チームを残留に導く活躍ができるかどうか。そこにかかっている。ここまでの消化試合数はバラバラで、磐田と柏は湘南よりも残り試合数が1つ多い。それがどう響いてくるのか、今季も最終戦までもつれそうだ。
ちなみに3チームの最終戦のカードは鳥栖VS磐田、神戸VS湘南、札幌VS柏となっている。すべて、アウェーの試合だ。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップ・アジア予選、アジアカップなど、数多くの大会を取材してきた。