「パワハラ」「おねだり」を繰り返し、不信任決議案は全会一致で可決。「鋼のメンタル」を持つと言われる兵庫県知事は、失職を選択して出直し知事選に挑むこととなった。県民のみならず満天下の注目を集める選挙となるが、対抗馬に〝時の人〟が浮上しているというのである。
今やワイドショーを中心に、連日にわたり「往生際の悪い権力者」のレッテルを貼られ続ける斎藤元彦兵庫県知事(46)だが、現職として一定の支持はあったと語るのは政治部デスクだ。
「兵庫県知事は歴代、20年務め上げた前任の井戸敏三氏をはじめ62年にわたって、総務省を中心とした中央官僚あがりが副知事を経由して就任してきました。その結果、悪しき伝統が作り上げられた伏魔殿となった。斎藤知事も総務省出身とはいえ副知事を経ずに、慣習を破る改革のため、県民の支持を受けて21年に当選。実際、見境のない幹部の天下りにメスを入れるなどの成果は挙げてきた。一連の疑惑と対応はもってのほかですが、その改革に反発する県議会が一丸となって〝斎藤潰し〟にかかってきた側面もありますからね」
県議会とは敵対しても県民は自身の味方とかたくなに信じる斎藤知事は、知事選での出直しを表明。とはいえ、悪評をすべて振り払えるかは大いに疑問だ。
そんな中、混乱を収める救世主の名前が取りざたされている。前広島県安芸高田市長にして、先の都知事選で蓮舫氏を上回る166万票を獲得の2位と躍進した、石丸伸二氏(42)である。
「石丸氏は、推薦なしでも無党派層を取り込めば兵庫県知事選を制する自信があるようです。SNSを駆使した活動の成果を示し、賛否はあるものの、抜群の知名度を今こそ発揮すべきでしょう。かつて斎藤氏が兵庫に乗り込んできた時に県民が支持した改革を断行するには、安芸高田市長として議会と戦い、時に『恥を知れ、恥を!』とまで言い放ち毅然と立ち向かった石丸氏は、うってつけの人材というわけです」(前出・政治部デスク)
背中を押す支援者が現れ、石丸氏本人はやる気になっているというのだが、その実態は公然とは聞こえてこない。それなのにそんな情報が漏れてくるのは、次期兵庫県知事選に対して自民党が躍起になっているからだという。
「今回の兵庫県知事選は衆議院の解散総選挙の前哨戦として非常に重要です。21年には、維新だけでなく自民の分裂一派が斎藤氏を支持しましたが、今回は完全に敵になる。そればかりか、強敵・石丸氏の出馬情報まで入手し、自民党内では勝てる対抗馬の切り札として経産相をはじめ要職を歴任した、西村康稔氏(61)の名前まで浮上しているのです。西村氏は『兵庫9区』で、特に淡路市では圧倒的な票数を持っている。もちろん、現在の西村氏は党員資格停止中。表向きは無所属で出馬し、来年4月に知事として自民に復帰するプランです。そもそも復党しても国政で要職は望めない、西村氏にとってもチャンス。自民党は刺客を出さないでしょう。仮に落選しても、衆院選で兵庫9区では勝てる。それから自民に復党すればいいわけです」(自民党関係者)
斎藤知事を追い出す兵庫県議会と、今度は〝石丸構文〟が対峙するのかもしれない。