ポスト立浪は、井上一樹2軍監督――。中日グループは10月6日のレギュラーシーズン終了を待たずして、1軍監督就任を正式要請した。
この情報と前後して飛び込んできたのが、井上2軍監督のファーム指導者として出した「最後の指令」だった。根尾昂に「みやざきフェニックスリーグで7イニング以上を投げさせる」というものだ。「球数を気にせず、バテてもいいから」と指示を出したのである。
「つまり、根尾を投手として使い続ける、という意味です。野手に再転向の噂が出ていたので、それを打ち消す目的も含まれているようです」(名古屋メディア関係者)
根尾は今季のほとんどを2軍で過ごした。その成績は4勝5敗と振るわず、14試合に先発したが「7イニング以上」を投げたのは3試合しかない。
「制球難が最大の原因です。ボールカウントが先行すると修正できず、そのままズルズルと…。実際にマウンドに行き、投げてみなければどうなるか分からないのが根尾なんです」(前出・名古屋メディア関係者)
根尾については複数のプロ野球OBが、YouTubeチャンネルで「野手の方がいい」「内野手で育ててみせる」と発言している。「投手専念」指令を出した立浪和義監督が退任するとなれば、根尾の再コンバートは難しい話ではなくなる。来季はプロ7年目、25歳を迎える。お膝元たる岐阜県出身のドラフト1位選手でなければ、既にクビを宣告されていたはずだ。
投手を続けるのか、野手に再コンバートさせるのかは、根尾の野球人生に影響してくる重要案件。井上2軍監督は「フェニックスリーグで投手として鍛える」と即断したわけだ。
井上2軍監督は現役時代、3134打数863安打、打率2割7分5厘の成績を残したが、投手で入団したことで、9試合登板0勝1敗の投手成績も残っている。プロ4年目のシーズン途中で、野手に転向した。
根尾もプロ4年目のシーズン途中に、転向を通達された。「野手から投手へ」は通常とは反対のコースになるが、井上2軍監督は根尾に自身の現役時代を重ねているのかもしれない。
「井上2軍監督はドラフト指名直後から打者転向を打診されていました。でも投手に未練があり、遠回りをしています」(球界関係者)
井上2軍監督が打者として成功したのは「投手への未練」を完全に断ち切ったからだという。根尾にとっていちばんの理解者が1軍監督に就任すれば、大きな後押しになろう。
(飯山満/スポーツライター)