10月13日に東京・有明アリーナで開催されるWBA世界バンタム級タイトルマッチ。王者・井上拓真と同級2位の堤聖也が激突するが、下馬評では「井上優利」だという。だが井上が所属するジムの大橋秀行会長は、堤の執念を警戒しているようだ。いったいなぜか。
実は2012年のインターハイ準決勝で2人は対戦しており、その時は井上が勝利。それ以来の再戦に、井上は「圧倒して返り討ちにしたい」と意気込んでいる。
10月3日にオリコンのYouTubeチャンネル〈oricon〉で一部披露された、公開練習後の記者会見に臨んだ大橋会長は、
「堤選手は本当に強敵なんですけど、ここをクリアして、みんなが望む統一戦の道に進んでいきたいところで、そういった意味では大事な試合になると思います」
では、堤のどのポイントを警戒しているのか。大橋会長が続ける。
「(堤は)『井上拓真、井上拓真』ってさんざん言って、彼はいろんなことを乗り越えて、ここまでたどり着いてきてるんで。スピード、テクニック、ボクシングは拓真が圧倒的だと思うんですけど、ただ僕がいちばん警戒するのは、そういった意味を含めての、人間力の強さです」
堤のプロの戦績は13戦11勝(8KO)2分。12戦目となる2023年12月26日、バンタム級モンスタートーナメント決勝で穴口一輝を10回判定(3-0)で下し、4度目の日本防衛を果たした。ところが試合直後に穴口が意識を失い、病院に緊急搬送される事態に。右硬膜下血腫の手術を受けたが、2024年2月2日、帰らぬ人となった。そのショックを引きずりながら、堤は2024年7月7日、ウィーラワット・ヌーレ(タイ)に4回TKOで快勝している。
堤の執念が下馬評を覆す結果を導くことになれば、ボクシングファンが大いに期待する、WBC世界バンタム級王者・中谷潤人との統一戦は水の泡と消える。大橋会長の警戒は、杞憂に終わるかどうか。
(所ひで/ユーチューブライター)