秋たけなわの好季節、10月に入りGⅠ戦が目白押しだが、10月13日には3歳牝馬による三冠レースの最終関門、秋華賞が京都競馬場で行われる。
今年は登録馬が17頭(うちチェレスタが回避)とフルゲート(18頭)に満たないのは、実績ある既成勢力が大半を占めており、〝夏の上がり馬的な存在〟が少ないからだろうか。実際、東西で行われたトライアルレースの紫苑SとローズSの上位勢は、春のクラシック戦線でも活躍した馬たちで、上がり馬による無謀な挑戦は控えようとなったのかもしれない。
そのトライアルの上位勢は、ひと夏を越して力をつけていることは確か。ここが5カ月ぶりの実戦になるオークス馬のチェルヴィニア、桜花賞馬のステレンボッシュ(オークス2着)との差は、縮まったとみるべきだ。
まずは顔ぶれを見てみよう。前記したGⅠ馬2頭を筆頭として、トライアルを制したクイーンズウォークとクリスマスパレード。重賞勝ちの実績があるアドマイヤベル、コガネノソラ、ミアネーロ。重賞では常に上位争いを続けているセキトバイースト、ボンドガールなど、顔ぶれはとにかく多彩。むろん、少ないながらも上がり馬的な存在もいて、見応えがあると同時に、馬券的には難しい一戦とみてよさそうだ。
ただ、過去の傾向を見ると、牝馬は消長が激しいと言われながら、春の実績をそのままに、そう大きく荒れることはなく、順当な結果に終わることが多い。
02年に馬単が導入されて以降、これまでの22年間、その馬単での万馬券は1回のみ。この間、1番人気馬は7勝(2着3回)、2番人気馬も7勝(2着5回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は3回だけだが、やはり有力、人気どころを主力とみるべきGⅠ戦と言えるだろう。
それでも当欄としては、比較的人気薄の馬に目をつけてみたい。期待を寄せたいのは、そんな1頭、ラヴァンダだ。
前走のローズSは終始好位につけて立ち回ったが、最後は垂れてしまい、7着に終わった。しかし、勝ったクイーンズウォークとの差は3馬身ちょい(コンマ6秒)。これなら十分に巻き返せるとみての狙いだ。
春は使い詰めが影響して馬体が細化気味だったこともあり力を出し切れなかったが、そんな中でもフローラSで差のない2着。地力は確かだけに、本来の姿に戻れば、通用していいはずである。
この中間は、休み明けを一度使われたことで馬体が締まって、いい雰囲気。1週前の追い切りも実によかった。
厩舎スタッフも「春に比べてひと回り体が大きくなり、成長がうかがえる。ここはベストと思える距離での競馬。相手は強くなるが、そうヒケは取らないと思う。楽しみ」と口をそろえるほど。状態がグンと良化しているとあれば、好勝負になっていい。
血統的にもオークス馬ヌーヴォレコルトなど近親、一族に活躍馬がズラリといる良血。京都コースも好相性で〈1 0 2 0〉と走っている。良馬場条件に大きく狙ってみたい。
もう1頭、注目したいのは、セキトバイーストだ。
前走のローズSは逃げまくってコンマ2秒差の3着。今回もこの馬が主導権を奪いそうで、展開のカギを握るとみられているが、相手なりに走り、大崩れしないところが同馬の持ち味。こちらも母系は欧州の一流血脈。京都コースは〈0 2 0 0〉と結果を残しており、道悪の不安もない。要注意馬だ。