とんだツギハギ内閣の誕生だ。キングメーカー麻生vs菅による〝勝ち馬イス取りゲーム〟の末、瓢簞からコマで飛び出たのはアチラに配慮、コッチに遠慮で手も足も出ないダルマ内閣。しかも、総理の座に座るや、裏金議員は不問、金融緩和是正も撤回と朝令暮改、ご祝儀人気どころか早くも支持率は低迷。虚空を掴む石破内閣の内幕をバラす!
「嘘つき!」
「裏金議員を公認するな!」
10月4日、石破茂総理(67)が所信表明演説を読み上げる国会で怒号が飛び交った。
政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏も断罪する。
「総裁選では小泉進次郎候補(43)が早期解散を打ち出したのに対し、石破氏は論戦を踏まえた上での解散が筋で、国会は軽視しないと語っていた。ところが総裁選の翌日、いきなり解散と言い出した。石破さんは次期総理のアンケートで常にトップ。その理由は、正論を吐く人だったから。ところが蓋を開けてみれば、いきなりの解散宣言ですからね‥‥」
この掟破りの〝フライング解散〟は、対立候補の一本化を目指す野党を出し抜くため、最短スケジュールを組んだことでも明白だ。
9人の候補、過去最長の15日間という異例の総裁選について、鈴木氏がその舞台裏を明かす。
「永田町では投票日の1週間くらい前に急に石破支持の声が聞かれるようになった。その理由は、立憲民主党の代表が野田佳彦氏(67)に決まった。となると、前評判が高かった石破さんか高市さんかという選択となり、高市さんのような強硬なタカ派では穏健な保守層票が野田さんに流れるとの危機感があったからです。また高市さんは外交でもリスクがありますから、秋に行われることになる衆院選挙と、来年7月の参院選挙を考えた場合、党の顔としては、石破さんの方が選挙で有利になると判断されたわけです」
実際、石破氏が総裁選を制した背後には決選投票で石破支持を打ち出した大物の存在があったという。
「総裁選投票日の2日前の会見で、石破さんは岸田政権の経済政策を継承すると言った。それで岸田さんの旧宏池会は石破支持に回ったことで、勝つことができた。キングメーカーとして存在感を見せつけた上に、みずからが行ってきた財務省が主導する経済政策を引き継がせることができたわけですからね。1人、高笑いをしているのが岸田さんでしょう」(鈴木氏)
結局は旧態依然としたキングメーカーの争いだったと見るのは、政治ジャーナリストの安積明子氏も同じだ。
「1回目の投票では議員票がバラけて見えにくかったですが、2回目の投票で岸田さんと菅さんが石破支持で動いたことで決しました。麻生さんは河野支持を表明したものの、麻生派所属の議員には投票先を縛りませんでした。ところが菅さんが決選投票で石破さんを支持したので、麻生さんには高市さんしか選択肢はなくなった。そこで投票日の前日に、麻生派の議員に『高市に入れろ』と電話をかけ、1回目の投票で石破さんを制したわけです。ところが『高市以外』という岸田さんの支持で勝負は決定。キングメーカーの地位は岸田さんがゲットしました」
無派閥の石破総理の裏でシン派閥が暗躍していたとは、本末転倒な話ではないか。