ランコ・ポポビッチ監督を電撃解任したJ1鹿島アントラーズは、今季からトップチームのコーチを務めてきた中後雅喜監督の就任を発表した。鹿島サポーターでさえ意外と感じる人選だったことから、「なぜ?」という疑問の声が広がっている。サッカーライターが語る。
「中後監督は駒澤大学から2005年に鹿島でプロキャリアをスターとした後、2009年にユース時代の古巣であるジェフユナイテッド千葉に期限付き移籍。翌2010年に完全移籍で加入した後は、セレッソ大阪、東京ヴェルディと渡り歩きました。出場数は圧倒的にヴェルディ時代が多く、『鹿島』というイメージがそれほど強くはなかった。これが驚きの理由のひとつです」
監督としてのキャリアはどうかといえば、2020年ー2022年までヴェルディユースを指導したのみだ。就任1年目ながら、暫定4位と上位を走っていたポポビッチ監督を解任してまで断行するべき人事だったのか。
さらにサポーターに大きな疑問を抱かせたのは、クラブのリリースに「暫定」という言葉がなかった点だ。
中後監督の発表に合わせて、強化責任者のフットボールダイレクターに元日本代表の中田浩二氏、トップチームのコーチに本山雅志と、パリ五輪男子代表でコーチを務めた羽田憲司氏の就任が決まった。
「クラブOBでガチガチに固める中、年内残り6試合だけの『つなぎ』の新体制なのか。それとも3位までに入って、アジアのクラブの頂点を決めるAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)の出場権を獲得すれば来季も続投するのか、方向性がわからないのです」(前出・サッカーライター)
一部報道では、川崎フロンターレの鬼木達監督や外国人監督の起用に向けて後任人事を進めている、とも。
「3月に日本代表やJリーグのクラブで指揮する際に必要なS級コーチライセンスが交付された、元日本代表で鹿島のエースだった柳沢敦氏が本命候補。すでにS級を受講している内田篤人氏も近い将来、鹿島で指揮を執ることが熱望されているクラブOBです」(前出・サッカーライター)
新体制を発表したとはいえ、ここ数年は「短期政権」が続く名門クラブだけに、この先にひと波乱あるのかもしれない。
(風吹啓太)