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【凱旋門賞ナマ観戦記①】パリ市内ではレースの新聞記事も馬柱もテレビニュースもなかった

 終わってみれば、ワイド(ボックス10点)、複勝3点中2的中のパリ凱旋門賞になった。合計3的中。払い戻しは3万円に届かなかったが、思惑通りだったのは大満足だ。ギャンブルはどこで行われるどんな種目も所詮は数字が走るゲーム。当てることができるかどうかに尽きる。

 パリ行きは今回で17回目になる。17回目にして初めて、凱旋門賞が行われる10月第1週の日曜日にパリに滞在することができた。まずそれが大当たりだった。これまでは一気に秋を迎える9月か、秋も深まる10月半ば過ぎか、あるいは春先に出かけていた。10月1週はいうなれば、エアポケット。縁がなかった。渡航スケジュールを組んだ時は、それが凱旋門賞ウイークとは気が付かなかった。それが8月のある日、「凱旋門賞を見られるじゃないか」ということになった。10月6日はパリにいる。

 早速、いつもお世話になるパリ在住ン十年のマダム悦子さんに連絡し、確認してチケットを取ってもらった。凱旋門賞は競馬の世界最高峰レースである。スペシャルデーのチケットはもちろん予約が必要で、しかも高い。

「いつもは5ユーロぐらいなのに、凱旋賞は特別な値段になるみたい。20ユーロ、65ユーロもありますよ」

 マダム悦子が調べて連絡してくれた。

「65ユーロ…えーと日本円で1万円を超える。さすが凱旋門賞。僕は65ユーロにします。あとは20ユーロでいいと思う」

 あとは、というのは同行者が4人いるからだ。連れ合いのゆっちゃんと、友人の娘とそのパートナー、それから付き添ってくれるマダム悦子。

「65ユーロのところにいて時々、20ユーロのところに移るようにします」

 凱旋門賞を現場で見るのは初めてだが、競走が行われるロンシャン競馬場にはコロナ禍の2022年春に出かけているので、場内がどうなっているかはだいたいわかる。65ユーロのエリアがどこか、この時点ではわかっていなかったが、送られてきたチケットをみると、ゴール前だった。

 頭をよぎったのは、ドレスコード。大人の社交場といわれる凱旋門賞には、ドレスで着飾った淑女や背広姿の紳士が訪れる。65ユーロの席ともなれば、まさかブルゾンやパーカー付きスウェットというわけにはいくまい。せめてジャケット1枚は持っていくか…。そんなことを考えていた。

「凱旋門賞に行くよ」とグループのLINEに送ると「やーい、初競馬だ」と友人の娘は喜んでいる。初競馬? 行ったことがないのか。初競馬が凱旋門賞というのはどういう人生だろうか。そもそも周囲に凱旋門賞を現地で見た人に会ったことがない。たとえは不適切かもしれないし、ありえないだろうが、初土俵が幕内で、いきなり初優勝したようなものだろうか。

 連れ合いのゆっちゃんと出発したのは10月1日。友人の娘とパートナーはその前に、別便でパリに向かった。

 パリでは夏に行われた五輪の名残をチラホラ見かけた。競技会場になったエッフェル塔下の公園には施設を組んだ足場の鉄パイプなどが置きっぱなしになっていたし、メトロの構内には競技会場を案内する掲示が貼ったままだった。

 市内を歩いていると、凱旋門賞の気配は皆無といっていい状態だった。それは開催前日、開催当日も同じだった。日本ならGⅠの枠順確定は、日曜の開催なら木曜日に出る。スポーツ紙も夕刊紙も金曜日に確定した馬柱を掲載し、駅の売店やコンビニなどで発売する。駅売店やコンビニに行くと、真っ先に大きな見出しが飛び込んでくる。

 しかしフランスには、日本のようなスポーツ紙も夕刊紙もない。スポーツ紙はレキップがあるが、サッカーや自転車競技が中心で、確認したら凱旋門賞の記事は載せていなかった。そもそも駅に日本のような売店はないし、ましてコンビニなどない。キオスクというのか、街角の売店があるくらいだ。

 テレビでも凱旋門賞のニュースは見かけなかった。凱旋門賞のメディアの扱いは、フランスよりも日本の方が大きいのではないだろうか。

 ちなみに、日本では連日連夜、テレビも新聞も大騒ぎのドジャース・大谷翔平の名前は、パリ滞在中、一度も目にしなかった。

(峯田淳/コラムニスト)

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