ドラフト会議が終了したプロ野球界では、水面下で巨人と阪神の場外バトルがヒートアップ必至な状況になってきた。
日本野球機構(NPB)は新たに国内フリーエージェント(FA)有資格者として、ソフトバンク・甲斐拓也、阪神・大山悠輔ら111選手を公示した。
大山に関しては、近い将来のメジャー移籍をもくろむ岡本和真の代役として、巨人が興味を示しているとされるが、実はバトルの最重点項目となっているのが甲斐だという。スポーツ紙遊軍記者が語る。
「ドラフトでは捕手難ということもありますが、巨人はゼロ。阪神もドラフト4位でBC埼玉から町田隼乙を指名しただけですからね。今季、双方のチーム事情を考えれば、捕手は喉から手が出るほど欲しい。甲斐がFA宣言すれば、間違いなく争奪戦になります」
巨人では小林誠司、大城卓三、岸田行倫の3選手がマスクをかぶるが、一長一短で、143試合の長いシーズンを任せられない。阪神も梅野隆太郎、坂本誠志郎が交互に投手をリードするが、今季は両捕手とも0本塁打の成績が示すように、打撃は期待できない。
甲斐は育成ドラフト出身だが、現在は侍ジャパンでも欠かせない存在となっている。14年目の今季は119試合に出場して打率2割5分6厘、5本塁打、43打点に加え、「甲斐キャノン」と呼ばれる強肩は健在だ。前出の遊軍記者も、
「リード面も含めて総合力の高い捕手ですからね。他のポジションとは違って捕手育成には時間がかかることを考えれば、獲得のメリットは計り知れません」
しかも巨人、阪神とも捕手に関しては来季、現有戦力を維持できない可能性が高まっている。
「大城は今季、一塁での出場が多かったのですが、本人は捕手で勝負したい。さらなる活躍の場を求めてFA宣言するかしれません。坂本も年齢的に、大勝負に打って出る可能性がある。藤川球児監督は自らもFA宣言してメジャー移籍した人間。自らの言動を振り返れば、FA宣言した坂本を強引に引き留めることはしないでしょう」(前出・遊軍記者)
今季は最後の最後まで優勝を争った両チームだが、オフになっても激しいバトルは続きそうである。
(阿部勝彦)