発足した第2次石破茂内閣で、おニャン子出身の生稲晃子参院議員が外務政務官、元SPEEDの今井絵理子参院議員が内閣府政務官に起用され、驚きの声が上がった。発表直後から、2人の元アイドル起用に「裏金議員を登用できなくて、いよいよ人材不足」「2人とも不祥事しか記憶にない」「国民をナメるな」と厳しい批判が噴出したのである。
別に「アイドル出身」だろうが、政治の世界できちんとした実績を残してきたのであれば、そんなことを言われる筋合いはない。しかしこの2人の場合、目立つのはスキャンダルや不祥事ばかり。その不信感が批判へとつながっている。
生稲氏は2022年夏の参院選で、乳ガンの闘病経験から病気や女性への支援を訴え、初当選。ところが出馬した際、NHKの候補者アンケートに「無回答」を連発。開票時にはあろうことか、「不勉強」を理由にテレビ各局のインタビューを拒否し、「何も知らない元アイドル議員」というレッテルを貼られてしまった。
しかもその後、萩生田光一元政調会長に連れられ、公示直前の6月に旧統一教会の関連施設を訪問していたことが発覚。8月18日に囲み会見に臨んだ生稲氏は、
「暑かったので顔を直すこととか、きちっと間違いないように喋らなきゃいけないとか、そういうことに必死で、何も見ずに。いつもそんな感じの移動なものですから、その時は全く見ていなかったんですね。だから知りませんでした」
平然とそう答えたのである。全国紙政治部記者がアキレ返る。
「選挙戦前で1分1秒が大切な時に、誰がやっているどこの団体かもわからない施設に行くことなど、あるわけがない。では、仮に訪問したのが指定暴力団の関連施設だったらどうするのか、ということです。『上』の支持でそう言わされたのかもしれませんが、この発言が政治部の記者の反感を買ったのは言うまでもありません」
それから2年半。
「国会議員としてひとつひとつ、しっかりと慎重に把握して行動してまいります」
そうコメントした生稲氏は、確かに育児や介護などに関して、積極的に活動してきたのだろう。とはいえ、外交分野でその名前が挙がったことなどない。そんな状況下での外務政務官というポストへの大抜擢となったわけなのである。
11月14日には第2次石破内閣の記念撮影がおこなわれ、外務政務官として参列した生稲氏に、テレビがマイクを向ける。
生稲「あ、もうあのぉ…精一杯、与えていただいたお仕事を頑張ってまいります。よろしくお願いします」
記者「特にこの点に力を入れていきたいところなどは?」
生稲「それはもうこれから…あのぉ、はい。頑張ってまいりますので、またよろしくお願いします。ありがとうございました」
いったい何を言っているのかまるでわからない、ほぼ何も考えていない受け答えだったのである。そしてそのまま、逃げるように去っていった元アイドル…。
繰り返すが、別に「元アイドル」だからと色眼鏡で見るつもりはない。とはいえ、だ。外務政務官として中国、北朝鮮、韓国といったアジア太平洋局の担当になったが、そんな重要ポストに外交はおろか、政策交渉の経験すら怪しい人物を充てるとは、適材適所であるかどうかに疑問しか残らないのである。
(山川敦司)