11月15日のインドネシア戦は4-0、19日の中国戦は3-1で2連勝を飾り、2026年サッカー北中米ワールドカップ(W杯)のアジア最終予選で、日本代表は首位を独走中だ。
今回の代表ウィークで一番の注目は、ケガで選ばれなかったエースFW上田綺世の代わりのワントップ争いだったわけだが、ここ最近の代表活動からFW小川航基が最有力候補といわれる中、1年ぶりにFW古橋亨梧が代表復帰した。
「練習中、ポジション争いを意識して緊張感があった」
とサッカーライターは言うのだが、2人の立場は明暗を分ける結果に終わったと、サッカーライターが続ける。
「大きく株を上げたのは小川でした。森保一監督は迷うことなく、2試合に先発で起用。中国戦ではヘディングで2ゴールを奪いましたが、特に1点目のコーナーキックからのゴールには度肝を抜かれました。インステップで蹴ったのかと思うほどに威力があり、キーパーはボールにまったく触れられなかった。これまで日本はセットプレーが弱点だといわれていましたが、小川がいるだけで得点のチャンスをプンプン匂わせています」
代表戦9戦9発の高い決定力に加えて、身長186センチで体重80キロというフィジカルを生かしたポストプレーの強さは、NECナイメヘン(オランダ)でも屈強な外国人選手を吹き飛ばし、証明済みだ。さらに、FWに必要な武器も兼ね備えていると、前出のサッカーライターは称賛するのだ。
「桐光学園卒業後、鳴り物入りでジュビロ磐田に入団。しかし、U20日本代表の試合で左膝の前十字じん帯断裂および半月板損傷の大ケガを負ったことで、思ったような活躍ができませんでした。期待が大きかった分、強烈なバッシングを受けたのですが、そこでメンタルが鍛えられ、今ではシュートを何本外してもどこ吹く風。エースに必要なふてぶてしさを感じさせます」
もはやポスト上田ではなく、どちらが先発で起用されても不思議ではない。小川は鬼メンタルで森保監督に向けて「使ってもらえればしっかり結果を残せる」と強烈にアピール。指揮官はファーストチョイスに頭を悩ませることだろう。
一方、不完全燃焼なのは古橋だ。インドネシア戦は出番なし、中国戦は後半32分から出場したが、ノーゴールに終わった。
終了間際に左サイドからFW前田大然の鋭いグラウンダーのクロスに惜しくも合わせられなかったが、そのままボールが逆サイドに流れて、DF橋岡大樹がセンタリング。わずかにボールの位置が高かったため、古橋のヘディングは無情にもゴールバーを越えた。
「常にゴール前で相手DFの裏を狙い続けて動き出し、自分の持ち味を発揮していました。サポーターからは短い出場時間に同情論が聞こえてきましたが、森保ジャパンではこれまでも結果が出なかったため、やっぱり噛み合わないと、否定的な意見が根強い。本人は強烈な負けず嫌いですが、闘志は内に秘めるタイプ。それでも試合後は珍しく、悔しさを隠せない表情を浮かべていました。とはいえ、ノーインパクトだったので、上田がケガから復帰した時に選ばれるのか、そこで森保監督の評価がわかるでしょう」(前出・サッカーライター)
短いチャンスを生かせず、エース争いで一歩後退した古橋。来年3月の代表選までの間に、主戦場のセルティック(スコットランド)でゴールを量産し、猛アピールを続けるしかなさそうだ。
(風吹啓太)