ジャパンカップで並みいる外国馬を一蹴したドウデュースの貫録勝ちに、関東在住の馬券師ライターT氏は白旗を上げるしかなかった。
「本サイト『アサ芸プラス』で、日本馬の高速の上がりに外国馬はひとたまりもないと言っておきながら、ドウデュースをムラ馬扱いしてバッサリ切ったことは謝ります。いちばん泣くに泣けない2⇒2⇒4着(2着は同着)の3連単を持っていたというオチでしたが、レースの展開予想は大当たり。想像以上のスローペースがドウデュース向きで、本命のチェルヴィニア(4着)にはよーいドン過ぎたことが、末脚の持続力という点で少々酷だった。それが対抗にしたシンエンペラーには有利に働いたし、文句は言えないですね」
しかし、負け惜しみはここまで。師走になれば開催場所も変わるということで、今週はダートGⅠの「チャンピオンズカップ」が12月1日に中京競馬場で行われる。そしてその前日、師走直前の11月30日は平地の日本最長距離レース「ステイヤーズS」(中山競馬場)が馬券ファンを楽しませてくれるはずだと、T氏は早くも前のめりだ。
「なんといっても3600メートル。ほとんどの馬が走った経験のない距離なので、経験値や得意不得意といった特性が出やすい。2015年から2017年はアルバートが3連覇(2019年も2着)、モンドインテロも3回馬券になっている(2016年、2018年に3着。2019年に1着)。そういった『慣れた馬』がいたら絶対に押さえるべきですし、今後このレースの常連になりそうなステイヤーを探せばいい。馬券戦略がそれほど難しくないのに、この5年の3連単平均がちょうど10万円(10万36円)。いろいろと入用の師走にこんなおいしいレースはない」
T氏の助言に従えば、今年の出走馬では、2021年2着、2023年1着と、3度目の馬券に王手のアイアンバローズがまず目に入るが…。T氏の見解はこうだ。
「もちろん、押さえなければいけない馬。しかし、過去2回は10月や11月にレースを使ってステイヤーズSに挑んでいました。今年は3月にドバイで走って以来の休み明け。残念ながら、春からの休み明けでこのレースで馬券になったのは、過去10年まで遡ってみても2頭だけ。レースの距離を考えると、本命にするにはローテーションが悪すぎる」
アイアンバローズはあくまで相手の1頭という評価だが、どうやら今回、T氏がより重要視するのは、このレースに挑むローテのようだ。
「言ってしまえば実に簡単。条件上がりのアルバートが5馬身の圧勝で他馬を蹴散らしてしまった2015年を除いた過去9年で、馬券になった馬の7割強が『アルゼンチン共和国杯』『京都大賞典』『古都S』から臨んでいます。この3つがステイヤーズSで最も力を発揮できるローテと断定していいほどの数字ですね。今回もこれに当てはまる2頭は、馬券になると考えるべきでしょう」
出走馬を確認すると14頭中6頭、ゴールデンスナップ、シュヴァリエローズ、フォワードアゲン、フルール、ミクソロジー、メイショウブレゲの6頭が「必勝ローテ」からの参戦。この中で、専門サイトの想定オッズではシュヴァリエローズが1番人気予想だ。
「この3年間、1番人気は全て着外。こうした傾向は続く限り、信じるべきです。しかも中山競馬場で3戦全てが着外で、3000メートル以上で走った経験がないシュヴァリエローズなら、バッサリ消せます」
残った5頭は、まさに一長一短。どの馬をチョイスするべきか悩むところだが、T氏はあっさり決まったようだ。
「3歳時は2000メートル以下のレースで力を発揮できず、4歳になった今年は長距離を使うようになって、2500メートル以上では6回走って5回馬券になっている。フルールしかいないでしょう。古都Sは3着でしたが、2着だったゴールデンスナップが、距離がどんどん延びていい血統ではないのに今回は予想オッズで2番人気なら、フルールこそ絶対に買うべき1頭。あとはジリ脚ですが、ステイヤーズS向きの長い末脚を使えるメイショウブレゲ。この2頭は他の重賞では『速い脚』が少々足りないだけに、来年もここに出走していそう。ぜひ、その前に買っておきましょう」
師走直前の土曜競馬は、フルールを軸にメイショウブレゲと「常連」のアイアンバローズを相手に置いて構築した3連単が、渾身の勝負馬券のようだ。長丁場の3600メートルを最後まで楽しめることを祈ろう。
(宮村仁)