京都での変則開催による2024関西重賞は、12月21日のGⅡ「阪神カップ」(芝1400メートル)で幕を閉じる。
「有馬記念」前日の脇役的扱いとなりそうだが、フルゲート必至の混戦を、馬券ファンが見逃す手はない。とはいえ、京都競馬場では初開催。過去のデータがあまり役に立たないレースで、どう考えるのか。
「京都の馬場が変わってきたことを、馬券戦略に生かすべき」
と話すのは、関東在住の馬券師ライターT氏だ。
京都競馬場は連続開催で直線の芝が痛み、一時はバテた先行馬を、かろうじて傷んでいない大外からごぼう抜きする、差し馬天国だった。ところがその傾向が変わったのだと、T氏は言うのだ。
「阪神Cと同条件で参考になる重賞は、10月26日の『スワンS』です。この週の多頭数の芝レースを見ると、17頭立てのスワンS上位3頭は、4角の位置取りが11、16、14番手。翌27日の18頭立て『カシオペアS』はそれぞれ5、10、14番手でした。6頭中5頭が芝のいい外に回して追い込んできた、差し馬です。ところが先週のGⅠ『朝日杯FS』はアドマイヤズームが4角2番手から抜け出したように、土日で14頭立て以上の芝レースが計9鞍ありましたが、4角10番手以下から馬券になった馬は36頭中5頭のみ。しかも1着はゼロです。外側の芝も荒れてきたことで、切れ味よりも先行して粘れるスタミナが必要になってきた証拠ですね」
上記のスワンSや、同じく差し馬の独壇場となったマイルCSからの臨戦馬が目立つ今回の阪神C。それらが人気を背負うだけに「おいしい馬券が待っている」と、T氏はほくそ笑む。
「ある程度以上の前につけられる先行馬が有利になるという点で、スワンSやマイルCSで後方からラクして追走していた人気馬は、期待外れの結果に終わるでしょう。ならばその2レース以外からの臨戦馬を。1200メートルのビッグレースで先行できるスピードがあり、さらに1400メートル以上でも好走できるスタミナを持つ馬が、断然有利になる。今回のメンバーなら、ママコチャとマッドクールで決まりです。特にマッドクールは人気の盲点で、狙い目でしょう」
ママコチャは前走のスプリンターズSで4角5番手から粘り、勝ち馬から0.1秒差の4着。1400メートルは6戦3勝だ。マッドクールはスプリンターズSこそ12着だったが、3月の「高松宮記念」では4角3番手から抜け出し、見事に1着。こちらも1400メートル以上で複勝率10割と、距離に対応できるスタミナがある。
「人気になるセリフォス、ナムラクレアと、スワンSの1、2着馬(ダノンマッキンリー、オフトレイル)あたりは全て、近走で後方からの競馬に徹している。今回、いきなり先行策を取るとは思えないだけに、過信は禁物。人気の一角、ウインマーベルだけは先行できるので、3着あたりで押さえは必要かもしれませんが、あとはその先行力、京都実績、1400メートル以上を戦えるスタミナなどを見て、穴馬を1、2頭加えるのがいいでしょう」(T氏)
有馬記念前日の運試し。有馬資金を少し「阪神C」に回すと、嬉しいことが起きそうだ。
(宮村仁)