これまでは首をすげかえてあらぬ画像を合成する「アイコラ」や、「ディープフェイク」と呼ばれる有名人の動画だったりしたニセモノが、AI技術の進歩により、さらに容易に、精密で真偽の区別が難しい画像や動画までもが作られるようになった。もはや「アイコラ」ならぬ「AIコラ」だ。
これが今、非常に問題になっていると、「クローズアップ現代」(NHK総合)でも取り上げられていた。中にはアイドルでも女優でもない一般人の女性が、自分がSNSに上げた写真を勝手に加工され、自分の元に送り付けられたり拡散されたりという被害まであるのだ。
それだけではない。最近は卒業アルバムの女子生徒の写真を投稿し、性的な画像や動画を作成して、コミュニティーで閲覧できるようにする輩までいるというのだ。
「クロ現」で取り上げられたもので驚いたのは、小学生の頃に好きだった女子の卒業アルバム写真を性的なものに加工して他の人たちと共有した、という中学生の話だった。しかも、さほど罪の意識もなさそうだったのだ。
ちなみに、こうした問題が深刻化している日本、アメリカ、韓国で、法規制がないのは日本だけだという。
昭和の時代にも、好きな女子によからぬ妄想をする小・中学生男子はいた。しかし放課後、誰もいない教室に忍び込み、好きな女子のリコーダーを舐めるくらいが関の山だったのだ。それこそ「かまいたち」のコントにあるように。
好きな女子への妄想は、あくまで自分の脳内だけで完結すべきこと。それが今や妄想が暴走し、先端技術の力を借りて具現化させ、しかも不特定多数に晒すような世の中になってしまった。「たて笛ぺろぺろ」の文化がなくなれば、かまいたちのコントは風化してしまうのか!?
(堀江南/テレビソムリエ)