サッカー元ブラジル代表FWとして活躍したロナウドが、ブラジルサッカー連盟会長選挙への立候補を表明した。
ロナウドといえば、1998年フランスW杯で準優勝ながらもMVPに選ばれ、2002年の日韓大会では優勝に貢献し、得点王に輝いた。当時のヘアスタイルは「大五郎カット」と言われ、多くの日本人にも人気があった。クラブではFCバルセロナ、レアル・マドリードで得点王となり、バロンドールも獲得した世界的なストライカーだ。
そんなロナウドがなぜ、会長選に立候補したのか。本人の言葉を借りれば、
「ブラジル国民の、代表に対する関心がなくなっている。私が立候補する理由は、代表チームが持っていた威信と尊厳を取り戻して復活させること」
強いブラジル代表を復活させるべく、立ち上がったといえる。
ただ、一筋縄でいかないのが、ブラジルのサッカー界だ。歴代の会長は汚職、賄賂などの金まみれ。現在のエドナルド・ロドリゲス会長も、2022年の選挙で不正があったとして当選無効とされ、解任される予定だったが、最高裁の命令を受けて、2026年3月まで務めることになった。
つまり、次の選挙は2026年の早い段階で行われる予定で、ロナウドとロドリゲス会長の一騎打ちになる可能性が高い。
選挙のシステムは複雑で、まず27州のサッカー連盟から4。ブラジルリーグ1部(20チーム)と2部(20チーム)を合わせた40チームから4と、指示を集めないと立候補できない。
得票が過半数に達したら当選となるのだが、州はひとつの指示に対して3票とみなされ、1部リーグの指示は2票、2部リーグの指示は1票として加算される。州のサッカー連盟の指示を集められれば勝てる、というわけだ。
普通に考えれば、ロナウドほどのネームバリューがあれば問題なく立候補して当選するだろうと思われるが、そんなに簡単なことではない。
前述したように、ブラジルサッカー連盟は金まみれの組織。現在の会長から恩恵を受けている州のサッカー連盟やクラブは少なくない。
現にロナウドが会長選挙に立候補を表明した後、ある州のサッカー連盟がロナウドを指示するという話がでたが、圧力を受けて白紙に戻ったという噂がある。
現段階ではロドリゲス会長が有利。それはロナウドも十分に理解している。選挙運動は2025年3月から始まる。ロナウドは「ブラジル全国を回る」と言い切っており、どこまで説得して指示を得られるか。
ブラジルサッカーの復活は、現役時代に「怪物」と呼ばれたロナウドにかかっている。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップ・アジア予選、アジアカップなど、数多くの大会を取材してきた。