横浜流星が主演のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」が1月5日にスタートしたが、気になる初回の世帯視聴率は12.6%、個人視聴率は7.3%だった(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。
吉高由里子が紫式部を演じた前作「光る君へ」の初回12.7%をわずかに下回る低調なスタートで、これは大河の初回視聴率としては歴代最低。
「視聴スタイルが変化し、リアルタイムで視聴する割合は減っているとはいえ、いきなり危険水域の数字です」
と危惧するのはドラマ評論家だ。「光る君へ」は配信での視聴数が好調だったが、今作はどうなるか。
「というのも、前作でつかんだ女性視聴者をいきなり手放すことになりかねない内容でしたので…」(前出・ドラマ評論家)
物語は明暦の大火の場面から始まる。主人公の蔦屋重三郎が暮らす吉原も、火災に見舞われた。ドラマウォッチャーが言う。
「視聴者をザワつかせたのは、その後のオープニング。キャストの中に吉高寧々、藤かんな、与田りんと、この3名の現役艶系女優の名前があったのです。役名のない、小さな表示でした。スタッフとしてインティマシー・コーディネーターの名前もあったので、吉原遊郭の遊女役として登場し、客との濃厚な絡みがあるのかも…と予想してしまいますね」
彼女たちの登場シーンは、意外な形でやってきた。食うものにも事欠く女郎が火をつけ、当局に検挙されたのだ。その中に幼い頃から世話になっていた遊女の朝顔(愛希れいか)がいると知った重三郎が駆けつけると、朝顔は艶系女優が扮した3名の女郎とともに殺され、いわゆる投げ込み寺に打ち捨てられていた。
投げ込み寺とは、身寄りのない斃死した遊女が投げ込まれることからついた俗称で、新吉原近くの浄閑寺のほか、内藤新宿や品川など、各街道筋に存在した。
着物は売り払うために剥ぎ取られたが、むごいシーンに衝撃を受けた視聴者は少なくなかっただろう。
大河ドラマは子供とともに家族で見るという家庭が少なくないだけに、
「NHKの攻めた演出は、物議を醸しています。とはいえ、ドラマの内容としては、今後に期待が持てるスタートだったのでは」(前出・ドラマウォッチャー)
前作からの流れで視聴した、とりわけ女性ファンの中には嫌悪感を示す視聴者がいたかもしれない。ただでさえ少なくなった、地上波のリアルタイム視聴者を手放すことにつながらなければいいが…。
(石見剣)