大相撲初場所(1月12日初日)に向けた、横綱審議委員会による稽古総見が1月6日、国技館内の相撲教習所で行われた。2場所連続全休中の横綱・照ノ富士は、大関・大の里との三番稽古を7番連続で取って3勝4敗。右四つから力強く寄り切る場面もあったが、まわしを切られると土俵を割るシーンが見られた。
稽古内容は互角だったせいか、明るい表情で、
「場所に向けて、体重のかけ方や細かいところを直していければいいかなと思う」
八角理事長も嬉しそうに言う。
「戻りつつある感じだね。千代の富士さんがよくそういう形でやっていた。今場所休場かなと思っていたら、出てなんとか勝ってるうちに、千秋楽になったら元気が出ていた。照ノ富士は去年の1月場所がそうだったんじゃないかな」
だが横審の山内昌之委員長の見方は、他の専門家とは違っていた。
「思った以上に回復していると思いました。いろんな若手力士や大の里にもアドバイスしていた。彼の横綱としての自覚。私はいつも、そこを厳しく見ている。照ノ富士は大の里を後継者として意識していたと、私は感じました。最終的にあとを託すのは大の里だと考えているんじゃないかと思いました。大の里とやっている時に『惜しい』とか『強いな』と言っていた。近くにいると聞こえてくる。深読みすれば、メッセージを託したといえるかもしれません」
世間は琴桜、豊昇龍の綱獲りを注視しているだろうが、照ノ富士の「後継者」と去就もまた、重大な問題なのである。
(蓮見茂)