昨季は4年ぶりのリーグ優勝を果たすも、シーズン3位のDeNAにCSで敗れ、日本シリーズ進出を逃した巨人。さっそく「お家芸」の大型補強を行ったまではよかったが‥‥。
侍JAPAN捕手の甲斐拓也(32)、中日の絶対的守護神であるライデル・マルティネス(28)、さらには楽天を電撃退団した田中将大(36)まで獲得した巨人は、昨年末に逝去した渡邉恒雄元オーナーへの追悼とも思える総額50億円超の大型補強に打って出た。「エースの菅野智之(35)のメジャー流出を補って余りある補強だ」と考えるのは、07年からの巨人のリーグ3連覇をヘッドコーチとして支えた大物OBの伊原春樹氏だ。
「例年になく巨人の本気度がうかがえますね。田中に関しては、さすがに150キロ連発、とはいかずとも天性のコントロールのよさと投球術がある。23年に受けたのはひじのクリーニング手術で、これは選手生命に致命傷を与えるものではない。故障さえなければ、勝ちが計算できる投手の柱になれるでしょう」
エースの戸郷翔征(24)をはじめ、伸び盛りの山﨑伊織(26)や井上温大(23)ら若手先発陣と共に優勝を担うローテの一角と断言する。
「マルティネスと大勢(25)のリリーフ2枚看板は脅威ですし、甲斐も昨季の盗塁阻止率リーグ1位にまで育った岸田行倫(28)やFA権を行使せず残留した大城卓三(31)と競わせれば選手層の厚みが増す。他球団と比べても圧倒的に戦力が豊富。セは巨人が連覇すると思っています」(前出・伊原氏)
G党には非常に心強い言葉だが、実は一方では今回の補強を不安視する声も聞こえてくる。球界関係者いわく、
「マー君の入団は本当にギリギリで決まった。それは、戦力としては見ていないから。じゃあなぜ獲ったかと言えば、『200勝興行』がビジネスとして魅力的だったからですよ」
真意はこうだ。田中のあと3勝に迫った日米通算200勝を見込んで、記念グッズの販売や観客動員増にうまみを感じ、元々は獲る気のなかったフロントが阿部慎之助監督(45)の要請を土壇場で飲んだというのだ。
「もっと言えばどうせ1年か2年で引退すると踏んだうえで、最後に儲けてやろう、と考えているはず。楽天復帰後はなかなか2桁勝利に届かない田中ですが、そこで出てくるのが小学校時代にバッテリーを組んでいた坂本勇人(36)。グッズでも何でもセット売りすれば絶対にハネる。1億6000万円の年俸を払ってもお釣りがくるぐらいのビジネスチャンスの到来だ。後は『俺が俺が』な王様気質のマー君を、球団がどこまで制御できるかじゃないですか」(前出・球界関係者)
またチームの内情をよく知る番記者からはこんな意見も出た。
「3選手共に、選手間に歓迎ムードはないですね。大勢にしてみれば『守護神として信用されていないのか!?』という話だし、岸田や大城も、これ以上捕手が増えることは許容しがたい。若い投手陣は『せっかくうるさい菅野さんが抜けたのに‥‥』と意気消沈。要は、現場の選手からすると今回の補強は『余剰人員』。裏では不満だらけですよ」
元オーナーは草葉の陰で何を思うか。3月28日の開幕が待ち遠しい。