大阪・関西万博の開催まで3カ月を切ろうとしている。急激な街の変化に伴い、大阪・西成では外国人トラブルや地上げの横行など、深刻な問題が頻発していた。地元民からは「暴動寸前」などと悲痛な声が上がっているというが‥‥。
万博に向け、西成の「ドヤ街」では、街の浄化やインバウンド需要に対応するためのリフォーム工事が盛んに行われているという。それが原因となり、これまでの利用客と外国人客との間に軋轢が発生していると明かすのは、西成でホテルを営む男性だ。
「外観はボロくても、室内は一般のビジネスホテル並みにキレイなところが増えてますわ。昔と違ってバックパッカーだけやなくて、カップルとか若い女の子連中もおるしね。お客さんが増えるのはええことやけど、前からドヤで生活してる人の中には、『なんや、やかましいホテルになってもうた』って嘆く人がおるのも事実ですわ。夜な夜な、宴会して寝られへんって苦情を言うてくるお客さんもおるから、ホテルとしても何か対策せなあかんわ」
増え続ける訪日外国人に頭を悩ませているのは、ホテル業界だけではない。
西成をルポルタージュした「ルポ西成」(彩図社)の著者・國友公司氏は、「飛田新地で撮影禁止のルールを破る外国人トラブルが増えている」という。街のいたるところに撮影禁止を伝える掲示があるにもかかわらず、撮影した写真や動画をSNSなどに投稿するケースが後を絶たないという。悩みのタネは迷惑な旅行者に限らないとして、國友氏が続ける。
「万博による土地価格の高騰を見込んだ、中国人の不動産グループによる地上げが横行し、地元民が困惑している側面もあります。現在、中国人らが経営するカラオケ居酒屋が多くありますが、地上げした土地には中国料理店などのフードコートを作るという話なので、より外国人の街になっていくでしょうね」
物事のすべてが万事「金」で動き、地域の安全が軽視される状況はそれこそ、「万博の歴史そのもの」と語るのはジャーナリストの西谷文和氏。
「1903年に、大阪・今宮で開催された内国勧業博覧会では、当時開催地の近くにあったドヤを外国人の目に触れないように釜ヶ崎に移転させたんです。今回も、旧あいりんセンターでホームレスの方々を立ち退きさせたでしょう。15名ほどだったそうですが、ああいった人権無視は、今後も加速すると思います」
このように、問題が噴出し続ける万博について、西谷氏はこう断言する。
「万博は絶対に失敗しますよ。理由は明確で、もうオワコンなんです。20年にドバイ万博に行ったら、会場はガラガラ。今回も前売り券の目標が1400万枚なのに、企業相手に700万枚をまとめて販売してる始末でしょう。万博が開幕したら安い値段で金券ショップに出回ると思いますわ。そんな失敗する万博のために、人権を踏みにじるなんて許されない行為ですよ」
万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」が聞いてアキれる。