1994年から運行を開始した「JR東日本E217系電車」(写真は東海道線の湘南色)が、3月のダイヤ改正で横須賀線と総武快速線から「撤退」することが明らかになった。
E217系は国鉄113系電車を置き換える目的で製造され、横須賀線と総武快速線で運用を開始。2006年からは東海道線でも運用されていた。
しかし、東海道線からは2015年で引退。横須賀線と総武快速線にJR東日本E235系が導入され、近いうちにE217系を置き換えることが決まっていた。そして今年のダイヤ改正で、ついに引退の時が来る。早くも沿線には最後の姿を写真に収めようと、鉄道ファンが集まり始めている。
通常、このような車両の引退は鉄道会社の発表で明らかになるのだが、E217系に関してはそうではない。JR東日本労働組合横浜地方本部の、組合員向けリリースにある記述を、鉄道ファンが目ざとく見つけたのだ。
それには組合側と会社側の議論が記されており、組合側の「改正後の横須賀・総武快速線はE235系のみとなるのか? E217系の使用はあるのか?」という質問に対し、会社側が「改正後はE235系のみとなる。E217系は使用予定はなし」と回答している。
労働組合の報告までチェックするとは趣味の範疇を越えているような気もするが、これは当たり前のことだと、鉄道ライターは言うのだった。
「今回のように労働組合のレポートには、車両に関する極めて重要な情報が普通に載っていることがあるので、ディープな鉄道ファンはJR各支社の労働組合の報告に目を通しています。これまでに何度も、レポートから車両の引退が明らかになっています。また、天皇陛下がお乗りになられるお召し列車の情報を得るため、官報をチェックする人もいますね」
マニアの執念たるや恐るべし、だ。
(海野久泰)